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» 2018年11月13日 10時30分 公開

大山聡の業界スコープ(11):メモリ市場予測、ボトムは2019年中盤か (1/2)

今回は、これからのメモリ市況を占う。サーバ/データセンター、PC/スマホ、それぞれのメモリ需要のこれまでを振り返りながら、これからどうメモリ市場が動いていくか予想する。

[大山聡(グロスバーグ),EE Times Japan]
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 2018年1月の本コラムで、2018年の半導体市況の見通しについて書かせていただいた。昨年、2017年のメモリ市場は、クラウドコンピューティング(以下、クラウド)のインフラであるサーバ/データセンター向けの需要が旺盛だった、2018年も同様の傾向が期待できるだろう、というポジティブな見通しを予測していた。残念ながらメモリ市況については年初見通しからかなりトーンダウンしてしまったが、データセンター市場向けの需要はどうなのか、今後の見通しは期待できるのか。非常に気になることなので、今回はこの辺りについて述べてみたい。

 クラウドコンピューティングのインフラは、文字通り「雲の向こう側」のことなので、われわれ一般ユーザーの目に触れることはない。特に米国系の大手クラウドサービス企業の動向については、各社の開示情報を頼るしかないし、「データ通信量が増えた」と言ってもわれわれにそれを実感する手段はない。

 そこで、WSTS(世界半導体統計)の出荷統計を少し細かい視点で見てみよう。下図はメモリ市場の地域別出荷の前年比成長率を示したもので、米州市場と中国市場だけを抜き出している。

地域別メモリ出荷成長率 (クリックで拡大) 出典:WSTSよりGrossberg作成

クラウドインフラの米州、PC/スマホの中国

 米州市場はGoogleやMicrosoft、Amazon、Facebook、Appleといった米国系の大手クラウド関連企業が自社のサーバー/データセンター向けに消費しているメモリ需要の動向を見るための指標になる。中国市場はPCやスマホの量産工場が多く存在することから、それらの需要向けの動向を見るための指標である。米州がクラウドインフラ用、中国がクラウド端末用、という区分はやや乱暴ではあるが、傾向を読み解く上での指標にはなり得ると筆者は考えている。

 米州市場は、2017年中ごろの前年比100%前後の増加から急速な下落を見せている。2018年9月の出荷実績が持ち直しており、このまま市場が再び活性化するのではないか、という期待も寄せたくなる。だが、業界内で聞こえてくる話を伺う限り明るい材料は乏しく、年末には前年比マイナスに落ち込む可能性が高そうだ。

 一方の中国市場は、2017年後半から2018年前半にかけてやや下振れているものの、前年比40%増から100%増の高い水準で推移しており、現時点であまり単調な下落は見られない。もっともIntelのPC向けMPUの供給が不十分で、PCメーカーの生産が下振れているため、中国におけるメモリ需要にも下振れが発生している。

 この点を少し補足すると、Intelは2018年4月、10nmプロセスの歩留まりに問題があることを理由に、10nm製品の量産開始を2018年後半から2019年に延期し、当面は現行の14nmプロセスでの量産を継続すると発表していた。しかし同社自身の製造現場が自社の変更に十分対応できず、MPUの供給不足を引き起こす結果となった。同社の7〜9月期決算は売上が前年比19%増の191億米ドルで「コンセンサス(=アナリストの業績予想平均)を上回った」としているが、TSMCは既に7nmプロセスで量産を開始しており、MPUで競合するAMDはこのプロセスを採用する計画である。Intelがこれ以上のもたつきを見せるようであれば、半導体売上ランキングで首位の座を奪われたSamsung Electronicsを追いかけるどころか、MPU市場でのシェア維持も難しくなる恐れがある。

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