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データは語る、鉄道飛び込みの不気味な実態世界を「数字」で回してみよう(35) 人身事故(5/11 ページ)

» 2016年10月21日 11時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]

「自殺対策白書」を夜な夜な眺めて気付くこと

 さて、前回の宿題を回収したところで、本日の本論に入りたいと思います。

 今回の前半は、「自殺対策白書」の中で登場する、単語「うつ病」についてお話したいと思います。

 私が夜な夜な「自殺対策白書」を眺めながら、不思議に感じてきたのが、このグラフです。

 正確に言うとグラフの項目です。「うつ病」とそれ以外の具体的な原因が記載されています。

 これは「自殺対策白書」の全てで共通の記載です。

 私が、どうにも奇妙に感じてしまうことは、「うつ病」が具体的な原因から区別されていることです。仮に自殺の原因が「うつ病」であったとしても、そのうつ病に至る、それなりの理由や原因があって、その理由や原因に由来しているハズだと思ったからです。

 そうでなければ、「確たる原因なし」という状態でも、自殺の理由を説明できてしまいます。これはとても乱暴な考え方であり、自殺に至った人の苦しみに寄り添ってない、と思えてしまったのです。

 そこで、今回の連載のために、うつ病の本をいろいろ読んでみたのですが、ビックリしました。

 正直に白状します。私は、どえらい勘違いをしていました。

 うつ病の発生原因をいろいろ調べてみたのですが、それは全くカテゴリーできるようなものではなく ―― というか、完全に理解不能なカオス状態でした。

「ホメ言葉を非難と受けとり、うつ病になる」
「学校で先生に質問された事項に答えられず、うつ病になる」
「部下の提言を自分が否定されたと感じて、うつ病になる」

 こんな事例の全てを「具体的な原因」として、グラフに記入することなどできようはずもありませんし、データとして取り扱うこともできません。

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