東芝照明プレシジョン、東北大学及びPiezo Studioは、新規ランガサイト型単結晶を用いた振動子を開発した。同時に、新たな製造プロセスを確立し、製品コストの低減を可能とした。
東芝照明プレシジョン、東北大学 金属材料研究所・未来科学技術共同研究センター及びPiezo Studioは2016年10月、新規ランガサイト型単結晶を用いた振動子を開発したと発表した。同時に、新たな製造プロセスを確立し、製品コストの低減を可能とした。
新開発の振動子は、新規ランガサイト型単結晶を用いることで、従来の水晶振動子(公称周波数8MHzの製品)に比べて、デバイス特性を大幅に向上した。例えば、インピーダンスは24.5Ωで86%小さくした。起動時間は135マイクロ秒で12分の1以下と短い。また帯域幅は5倍以上に広がった。
新規ランガサイト型振動子は、インピーダンスが小さいことから、従来の水晶振動子に比べて、ワンサイズ小型のパッケージを用いることができるという。さらに、稼働時の消費電力を水晶振動子に比べて約3分の1に低減することが可能となった。
これまで、ランガサイト結晶を用いた振動子は、優れた特性が得られる半面、高い製造コストが課題となっていた。今回は、結晶成長からデバイスの加工プロセスにおいて、単結晶の大型化や結晶材料の再利用、デバイス封止工程における新たな製造プロセスの開発などで、製造コストの低減を可能にしたという。
研究チームは引き続き、新規ランガサイト型振動子の特性改善や、低コスト化に向けた製造プロセスの改良などを進めることで早期量産を目指す。また、発振器などタイミングデバイスの開発にも取り組む予定だ。
なお今回の成果は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が支援し、2012年度より実施している「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」において開発した。
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