強誘電体キャパシターの劣化で良く知られているもう1つの現象が、「インプリント(imprint)」だ。「インプリント」が発生すると、ヒステリシス曲線は電圧方向に平行にずれていく。例えばマイナスの電圧方向(ヒステリシス曲線のグラフでは左方向)にヒステリシス曲線が移動していくとしよう。すると、ある程度まで進んだところで突然、負(マイナス)電荷の残留分極が大きく減少する。つまりそこで、データを保存できなくなり、データ保持期間の制限要因となる。ただし、正(プラス)電荷の残留分極量は初期値とほとんど変わらない。非対称である。
インプリントは、書き込んだデータ(分極の向き)をそのままにしておくと、経時変化によって発生するといわれている。この結果、データ保持特性を悪化させる。
(次回に続く)
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