現在では、二酸化ハフニウム(HfO2)に強誘電性を備えさせる、あるいは、強誘電体の二酸化ハフニウム(HfO2)を作製するには、主に2つの方法があることが分かっている。
1つは、二酸化ハフニウム(HfO2)に添加物をドーピングする方法である。強誘電性となる添加物元素としてはシリコン(Si)の他に、アルミニウム(Al)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ストロンチウム(Sr)などが知られている。
もう1つは、二酸化ジルコニウム(ZrO2)との混晶である。二酸化ハフニウムジルコニウム結晶(HfxZr1-xO2)となる。ハフニウムとジルコニウムの比率がほぼ同じである組成のときに、最大の強誘電性を示す。なお、二酸化ハフニウムジルコニウム結晶は「HZO」と略記することがある。
二酸化ハフニウム(HfO2)が誘電体としての性質を大きく変化させる原因は、当初は良く分かっていなかった。最近では、結晶構造の違いによるものであることが判明している。
二酸化ハフニウム(HfO2)には大きく分けると3種類の結晶構造がある。「単斜晶(monoclinic crystal)」「直方晶(orthorhombic crystal)」「正方晶(tetragonal crystal)」である。そして直方晶のときに、強誘電体となる。結晶構造が変化する、あるいは、強誘電体となる要因には、添加物、酸素空孔、応力、表面および界面のエネルギーがある。これらの要因によって二酸化ハフニウムの内部に占める単斜晶相の比率が減少し、直方晶相の比率が増えることで、強誘電体としての性質が強まっていく。
(次回に続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.