電磁材料研究所や東北大学、日本原子力研究開発機構らの研究グループは、ファラデー効果が従来の約40倍となる磁性薄膜材料の開発に成功した。
電磁材料研究所や東北大学、日本原子力研究開発機構らの研究グループは2018年3月、ファラデー効果が従来の約40倍となる磁性薄膜材料の開発に成功したと発表した。
今回の研究成果は、電磁材料研究所の小林伸聖主席研究員、池田賢司主任研究員、東北大学学際科学フロンティア研究所の増本博教授、同金属材料研究所の高橋三郎准教授および、日本原子力研究開発機構先端基礎研究センターの前川禎通センター長、グウ・ボウ副主任研究員らの研究グループによるものである。
ファラデー効果を示す代表的な材料としては、1972年に発見されたビスマス鉄ガーネット(Bi-YIG)がある。この材料は光アイソレーターなどの光デバイスに用いられている。近年はデバイスの小型化や集積化に対応するため、材料の薄膜化が必須となってきた。しかし、Bi-YIGを薄膜にすると、バルクに比べて特性が大きく劣化するなど課題もあった。
研究グループは今回、鉄(Fe)-コバルト(Co)合金と、フッ化アルミニウム(AlF3)やフッ化イットリウム(YF3)といったターゲットを用いて、ナノスケールサイズの強磁性金属粒子(グラニュール)が、透明な絶縁相中に分散したナノグラニュラー膜を、スパッタ法で作製した。
膜中では両者が分離して存在しているが、それぞれの界面でFeやCo原子の軌道磁気モーメントが増大していることを確認した。この現象が、従来の約40倍という巨大なファラデー効果を得られる要因となっていることが分かった。
研究グループによれば、今回の研究成果を発展させていくことで、光デバイスの小型化や集積化が可能になる。将来的には電子デバイスに代わる「光子デバイス」を実現することができるとみている。
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