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» 2018年11月12日 11時30分 公開

湯之上隆のナノフォーカス(6) ドライエッチング技術のイノベーション史(6):アトミックレイヤーエッチングとドライエッチング技術の未来展望 (4/5)

[湯之上隆(微細加工研究所), 有門経敏(Tech Trend Analysis),EE Times Japan]

SACの問題

 ゲート電極とコンタクトホールのリークを無くすためには、なるべく保護膜のSiNを厚く成膜したい。ところが、SiNが厚過ぎると、コンタクトホールの底面積が小さくなり、コンタクト抵抗が増大するという問題が起きる。

 コンタクト抵抗増大を避けるには、コンタクトホールの底面積を大きくすることが有効であり、そのためにはゲート電極を保護するSiN膜を薄くしたい。ところが、薄くし過ぎると、ゲート電極とコンタクトホールの間でリークが起きやすくなる。

 要するに、コンタクト抵抗とリークはトレードオフの関係にあり、両者を同時に満足するのが困難である。しかし、トランジスタの高集積化のためには、なるべくトランジスタ間の距離を縮めたいという要求がある。

 この問題の解決には、なるべくSiN膜を削らないSiO2エッチング、つまり、SiNに対する選択比が高いSiO2エッチング技術が必要である。そして、この厄介な問題を、SiO2のALEが解決したのである。

SACに適用されたALE

 米Lam ResearchがSACプロセスにALEを適用したときの実験結果を図8に示す。

図8:SACにALEを用いた効果(クリックで拡大) 出典:Lam ResearchのWebサイト

 図8-1では、コンタクトホールを開口する際、ゲート電極の保護膜SiNが露出する横方向の面積を“Landing area”、保護膜が縦方向に削れる寸法を”Corner Loss“と定義している。

 図8-1の左図のように、Landing areaが大きい場合は、Corner Lossは小さくなるが、コンタクトホールの底面積が小さくなってしまう。一方、図8-1の右図のように、Landing areaが小さい場合は、コンタクトホールの底面積を大きくできるが、Corner Lossが大きくなってしまう。

 望ましくは、Landing areaもCorner Lossも小さくし、コンタクトホールの底面積を大きくしたいが、Landing areaとCorner Lossはトレードオフの関係にある。そのため、図8-2に示すように、Conventionalなドライエッチングでは、その解決が困難だった。

 ところが、ALEを用いた場合、Conventionalなエッチングに比べて、Landing areaもCorner Lossも同時に小さくできることが分かった。これは、ALEにより、SiNに対する高選択SiO2エッチングが可能になったことを意味している。

 その結果、同じデバイス構造なら、コンタクトホールの底面積を大きくすることができる。または、Conventionalなドライエッチングを用いる場合よりも、トランジスタ間を狭くし、集積度を増大することが可能になる。

 このLam Researchの技術は、先端ロジック半導体メーカーに使われた。

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