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» 2019年01月16日 10時00分 公開

トレックス・セミコンダクター 代表取締役社長 芝宮孝司氏:独自色あふれる高付加価値製品が好調! 自動車・産業市場で成長するトレックス

トレックス・セミコンダクターは、小型、低消費電力などの特長を備える独自色の強い高付加価値製品を核に、自動車、産業機器市場での事業規模を一層、拡大させる。特に2018年に出荷数が前年比1.5倍に拡大したコイル一体型DC/DCコンバータ「“micro DC/DC”コンバータ」では、新タイプの製品を相次いで投入し、2019年もトレックスの事業成長を引っ張る見込み。「2019年もプラス成長すると確信している」というトレックス・セミコンダクター社長の芝宮孝司氏に2019年の展望、事業戦略を聞いた。

[PR/EE Times Japan]
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産機・自動車向け売上高比率53%超に

――2018年の業績を振り返っていただけますか。

芝宮孝司氏 比較的順調な1年だった。

 今期、2019年3月期上半期(2018年4〜9月期)の売上高は、前年同期比5.6%増の124億69百万円と当初計画を上回る成長を達成した。これを受けて、2019年3月期通期業績も上方修正し、売上高263億円(前年比9.6%増)を計画している。

 2018年9月以降、米中貿易摩擦の影響もあって、在庫調整を行う顧客がみられ、足元は少し軟調だが、通期業績目標は達成可能な数字だと考えている。

 (半導体受託製造を手掛ける)子会社のフェニテックについては、多くの受注をいただき、供給責任を果たすためにフル稼働を継続し、現状も受注残を抱えている状況にある。今後の受注状況は注視する必要があるものの、積極的に設備投資を行い生産能力を高めてきたことも功を奏し、期待できる状況が続いている。

――トレックス単独での2019年3月期の業績はいかがですか。

芝宮氏 注力している産業機器向けが総じて好調であり、上期の産機向け売上高は12.1%成長した。

 産機向け同様に注力領域である自動車向けについては、中国のアフターマーケット用車載情報機器の需要減の影響を受けて前年比3.4%減のマイナス成長となったが、純正の車載情報機器やECU(電子制御ユニット)向けは堅調に伸びており、順調だったと言える。

 その結果、トレックスの上期売上高に占める産機・自動車向け売上高比率は、53.7%にまで拡大した。売上高300億円などの数値目標を掲げる中期経営計画の最終年度である2021年3月期に、産機・自動車向け売上高比率を55%に引き上げる計画だったが、計画よりも早く比率が高まっている。

コイル一体型の“micro DC/DC”コンバータが好調

――産機向けで市場平均を上回る成長を遂げている要因はどのように分析されていますか。

芝宮氏 産機向けに限ったことではないが、トレックス独自の高付加価値製品が順調に顧客に受け入れられていることが要因の一つに挙げられる。

 特にDC/DCコンバータICとコイルを一体にした「“micro DC/DC”コンバータ」が好調で、2019年3月期上半期の出荷実績は前年同期比1.5倍になり、トレックスの主力製品になった。

 “micro DC/DC”コンバータは、コイルを一体化しているため電源回路の小型化に貢献する他、時間のかかるDC/DCコンバータとコイルのマッチング作業が不要で、熱やノイズの発生も抑えられるといった特長がある。こうした特長から、幅広い用途での採用が進み、例えば、100Gビット/秒(bps)や400Gbpsといった通信速度を実現する高速の光通信モジュールのDC/DCコンバータとして、高いシェアを獲得している。自動車向けでも、特にノイズを抑制できる点が高く評価され採用が進んでいる。

 2018年には、新たなパッケージを用いた新タイプの“micro DC/DC”コンバータも2つ投入した。1つは、クールポストタイプという“micro DC/DC”コンバータで、ICを封止したパッケージ上にコイルを実装できる構造であり、これまでは難しかった大きな巻き線型コイルも一体化できるもの。既に製品展開している40Vクラスの耐圧を持つDC/DCコンバータICでも、コイル一体化を実現できるようになった。

“micro DC/DC”コンバータの概要 (クリックで拡大)

 もう1つは、リードレスのパッケージながらハンダ接合部の自動外観検査が行えるウェッタブルパッケージを用いた“micro DC/DC”コンバータ。これは、高い信頼性を求める自動車市場のニーズを反映して開発した製品で、車載用ICの品質規格「AECーQ100(Grade2)」に準拠した製品を幅広くラインアップする予定だ。2019年春には、このウェッタブルパッケージを用いて、36V耐圧の「XDL605/XDL606シリーズ」を発売する。

――逆凹型のコイルをICパッケージにかぶせ、ノイズ抑制効果の大きいポケットコイル型など、“micro DC/DC”コンバータのバリエーションは大きく広がりました。

芝宮氏 現状、“micro DC/DC”コンバータの品種数は、降圧型、昇圧型、反転型などをカバーし30品種を超えているが、まだまだ品種数を増やす必要があると考え、開発を加速させていく。

 これまでは、開発済みのDC/DCコンバータICをコイル一体型に仕上げていくという流れだったが、主力製品となった昨今では、コイルと一体化することを前提にしてDC/DCコンバータICの設計開発を進めるように変更した。この変更により“micro DC/DC”コンバータとしての進化がより速く進むようになった。電源ICに関する基本技術を磨きながら、製品ラインアップを拡充していく。

独自色の濃い高付加価値製品で攻勢

――“micro DC/DC”コンバータ以外の高付加価値製品で採用実績を伸ばしている製品を教えてください。

芝宮氏 一つは、高さ0.88mm以下の超薄パッケージを実現した電源などのアナログIC製品群がある。数年前から、ディスプレイや指紋認証センサーを備えるようなスマートカードをターゲットに開発を進め、拡販を行ってきた。ただ、スマートカード市場の立ち上がりが想定より遅く、中国や韓国などのアジア市場での採用に限られていた。しかし、ようやく欧州でもスマートカード市場が立ち上がりつつあり、採用が拡大し、2019年に伸長が期待できる製品になっている。

 また、プッシュボタンロードスイッチIC「XC6192シリーズ」も急速に採用を伸ばしている。この製品は、マイコンなどに代わって、電源スイッチ(プッシュボタン)が押されたことを検知するICで、最大の特長は、0.01μA以下という実質ゼロの待機電力にある。待機電力をほとんど使わないため、バッテリー機器を長期間保存しても電池残量の減少を最小限に食い止めることができる。工場から製品出荷し販売されるまで数カ月かかる場合、その間にバッテリーを消費され、購入直後に使用できないということになる。しかしXC6192シリーズを使用すれば、そうした事態を解消できるため、多くのバッテリー搭載機器で採用が進んでいる。

プッシュボタンロードスイッチIC「XC6192シリーズ」の使用例。電源オフ時の消費電流は「XC6192」の消費電流(0.01μA以下)だけになり、従来よりも電源オフ時の消費電流を1000分の1以下にできる (クリックで拡大)

――独自色の強い高付加価値製品で、産機/自動車向けの売上比率を目標近くまで高められました。トレックスとしての事業戦略に変化はありますか?

芝宮氏 引き続き、産機/自動車向けへ注力していく。結果的には、産機/自動車向け売上比率は目標としていた55%を超えていくだろう。ただ、産機/自動車だけでなく、医療機器やウェアラブル機器、IoT(モノのインターネット)関連機器でも伸ばしていきたいと考え、新たな営業アプローチも始めている。

――新たな営業アプローチとは、どのようなものでしょうか。

芝宮氏 IoT市場はまだまだ発展途上にあり、さまざまなプレーヤーが、さまざまな機器を開発している半面、キラーアプリケーションが存在しない状況だ。営業的な観点からすると、広範囲で拡販活動をしなければならない状況だと言える。加えて、これまでのモバイル機器や産機、自動車市場とは異なる顧客層にアプローチしなければならない。

トレックスの“micro DC/DC”コンバータやチャージャーICが採用されるNXP Semiconductorsの「Rapid IoT試作キット」 出典:NXP Semiconductors

 そこで、現在、米国のデザインセンターが中心になって、半導体メーカーや商社が開発しているIoTシステムの概念検証(Proof of Concept/PoC)用キットなどに、トレックスの電源ICを積極的に提案し、採用数を増やしている。最近では、NXP Semiconductorsの「Rapid IoT試作キット」などに、“micro DC/DC”コンバータや低オン抵抗負荷スイッチが採用されている。こうしたキットをベースに、IoT端末が開発されるケースは多くなる見込みであり、キットへの提案活動が将来的な売り上げにつながると考えている。

生産増強を進め、旺盛な需要に応えるフェニテック

――フェニテックの事業状況、見通しについてお聞かせください。

芝宮氏 フェニテックは近年、設備投資を積極的に行い、生産能力増強を進めてきた。

 具体的には、岡山地区の第一工場で、同工場に近い本社工場を統合する目的で建設していた新生産棟が2018年夏に完成した。新生産棟は6インチウエハー対応ラインを備え、5インチウエハー対応だった本社工場を更新し、生産効率を高めた格好だ。既に新生産棟では試作品の生産を行っており、2019年3月末までには量産出荷を開始できる見込みになっている。

 また、2015年にヤマハから取得した鹿児島工場(6インチウエハー対応)についても順次、生産ラインを拡張し、生産規模を増やしている。現在、試作中の製品が多く、2020年3月期には、量産規模が大きく増える見込みだ。

鹿児島工場の生産規模拡大計画と主な製造品目 (クリックで拡大)

 フェニテックは足元、受注残を抱えている状況であり引き続き、生産の効率化なども進めながら、供給責任を果たしていきたい。

――フェニテックを子会社化した相乗効果などは発揮できていますか?

芝宮氏 大小、さまざまな相乗効果が出ている。フェニテックはファウンドリーながら、自社でディスクリートデバイスなどの設計開発を手掛けており、そうした設計開発の部分で両社が連携し共同企画を実施している。他にも、トレックスのパッケージ技術であったり、トレックスの海外の販路であったりを、フェニテックでも活用するということが実現できている。

 逆に、トレックス側としても、品質や長期供給といった観点でのシナジーが得られている。またフェニテック鹿児島工場の0.18μmプロセス製造ラインをトレックスが有効活用し、強化している中高耐圧電源IC領域で小型、低消費電力という特長を持った“とんがった製品”の開発を目指した共同プロジェクトもスタートさせている。

――最後に、2019年の展望をお聞かせください。

芝宮氏 2018年は、トレックスらしい小型、低消費電力を特長にした競争力のある製品開発が行え、フェニテックでも生産能力増強を進めることができた。やるべきことをやりきれた1年だった。だからこそ、2019年は、良いイメージを持って迎えることができた。経済環境としては、米中貿易摩擦など不安要素が多いのは確かだが、トレックスグループとして、プラス成長を実現できると確信している。


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提供:トレックス・セミコンダクター株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2019年2月15日



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