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» 2019年03月01日 11時30分 公開

製品分解で探るアジアの新トレンド(36):勝負は決まった? 魅力ある「お掃除ロボット」市場での半導体情勢 (1/3)

現状、お掃除ロボットに強い半導体メーカーはどこか? 今回は、さまざまなお掃除ロボットを分解、調査して浮き彫りになってきた事実をレポートする。

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]
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 お掃除ロボットは今では多くの販路で販売されている。大型量販店やホームセンター、Web通販やテレビショッピングなどの販路だ。大型量販店などでは実演コーナーもあってロボット機能を見ることもできる。ロボット機能とはコーナーで自動的に向きを変えたり、障害物を回避したりする、掃除機まかせの自動化された動きのこと。お掃除ロボットは進行方向の前方に各種センサーを備えていて、空間認識を行い、同時に判断処理を行っている。

 単機能のお掃除ロボットから高度な機能を備えたお掃除ロボットまで多くの種類が存在する。高度なものは10万円台後半、単機能の普及モデルでは1万円前後という価格帯であり、日本メーカーも参入している市場だ。お掃除は日常の作業だ。ロボット化されてもっとも効果の大きい日常作業の一つである。またロボットと名前の付く商品の中で、もっともロボットらしく、かつ普及の進んでいる製品だ。

 現在販売されるお掃除ロボットは老舗メーカーiRobotの「ルンバ」を取り囲むように多くの中国製であふれている。そして、中国製お掃除ロボットは著しい性能向上を果たしている。

中国DEEBOT製高級モデルの内部

 図1は中国のメーカーであるDEEBOTのレーザースキャン付きお掃除ロボットだ。レーザースキャナーを用いて掃除前(あるいは掃除中)の部屋の家具配置や形状を捉え、経路を決めて効率良く掃除するという。こうしたレーザースキャンを有するお掃除ロボットが続々と生まれている。なぜなら安価で性能の高いレーザースキャンセンサーが続々と製品化されているからだ。広域の空間認識にはレーザースキャンを用い、局所は本体フロントに設置されたIR(赤外線)センサーで物体との距離を見る。広域データと局所距離を計算して動いているわけだ。

図1:中国DEEBOT製のレーザースキャン機能搭載お掃除ロボットとその内部に搭載されている主なチップ (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 図1には3つの半導体チップのパッケージを掲載した。センサー系を制御するマイコンと、システムおよび、モーター制御を行うマイコン、そしてWi-Fiチップの3つだ。現在販売されるお掃除ロボットのほとんどはスマートフォン(アプリを入れる必要がある)でコントロールできるようになっているため、スマートフォンとお掃除ロボットを無線通信でつなぐためにWi-Fiチップが備わっているわけだ。レーザースキャン部には送受信とそれをコントロールするマイコンが搭載される。図1で紹介したDEEBOT製お掃除ロボットにはマイコンが3個採用されていることになる。レーザー制御用はSTMicroelectronics(以下、ST)製、センサー制御用は中国GigaDevice製。システムとモーター制御はNXP Semiconductors製だ。いずれも一般に販売される汎用マイコンであり、搭載CPUコアもArmのCortex-Mシリーズで共通しているWi-Fiチップは中国Espressif Systems製だ。

中国DEEBOT製普及モデルの内部

 図2は、同じ中国DEEBOTの普及モデル「N79」である。図1で紹介したモデルからレーザースキャンが取り除かれたモデルである。部屋全体をスキャンする能力はないが、フロントバンパーで部屋のコーナーや家具形状を常時捉えているので、隘路(あいろ)に入って動けなくなることは少ない。内部にはST製マイコンが1つ搭載されている。また普及モデルでありながらスマートフォンでの操作に対応し、Wi-Fiチップが備わっている。骨格は上位モデルと同じだ。センサー制御用のマイコンは搭載されていない。

図2:中国DEEBOT製の普及モデルお掃除ロボット「N79」と主要搭載チップ (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート
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