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» 2019年04月01日 11時30分 公開

製品分解で探るアジアの新トレンド(37):欧米製から“自前”へ、通信チップにも進出し始めた中国 (1/3)

以前は主に欧米製のチップが採用されていた、Wi-FiやBluetoothなどの通信チップ。最近は、優れた通信チップを設計、製造する中国メーカーも増えている。

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

“出来のよい”中国製Wi-Fiマイコン

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 中国にはEspressif Systems(以下、Espressif)という、多くの製品で使われるWi-Fiチップを手掛けるメーカーがある。本連載でもいくつか同社のWi-Fiチップの採用事例を紹介した。例えば中国のお掃除ロボット(2019年2月)、IoTエッジコンピュータである「M5Stack」(2018年11月)、ルネサス エレクトロニクスのコンピュータボード「GR-LYCHEE」(同月)だ。これは、採用事例のほんの一部である。

 EspressifのWi-Fiマイコンは多くの製品に組み込まれている。Wi-Fi通信チップは数年前まで、多くは米国製だった。Texas Instruments(TI)、Broadcom、Qualcommのチップが主に採用されてきたのである。しかし、IoT(モノのインターネット)の普及とともに、上記のように中国製Wi-Fiマイコンが、徐々に採用を増やしている。

 出来は正直言って非常によい。Wi-Fiマイコンという定義に則したCPUコントローラーとA-Dコンバーター(ADC)、D-Aコンバーター(DAC)も搭載している。しかも面積もコンパクトだ。通常、RF回路とロジックを1チップ化した場合、異なる極性のトランジスタを同一シリコン上に形成するために、高速のCPUを搭載できない場合が多い。ノイズに弱くなる(デジタルノイズがシリコンベースを介してラジオ部に影響を与えて特性がでないなどの副作用が発生するため)、チップを小さくできない(極性の異なるものを、距離を離して配置するため、回路として使われない領域がチップ内に生じてしまう)といった課題が生じるからだ。

 EspressifのWi-Fiマイコンには、Wi-FiだけでなくBluetooth通信機能を備えたものもある。1チップで2種類の通信が可能になっている。さらに、240MHzというそこそこ高速な32ビットCPUや大容量のSRAMも搭載する。こうしたチップがあれば、センサーの値を、ADCを介して取り込み、各種の処理を行った上で、通信として送ることができる。Espressifのチップは内部にさまざまな工夫(詳細は、ここでは割愛する)が施されているため欧米チップよりも多機能にもかかわらず、サイズは一周りほど小さいのである!

 こうした通信マイコンは2015年以降続々と中国から誕生し、ビーコンやワイヤレススピーカー、ワイヤレスヘッドフォン、ワイヤレスマウスなどに多くの製品に採用されてきた。

 あまりに採用が多いため、全てを確認することは到底できない。コツコツと購入して分解を続けているが大型量販店やホームセンター、ネット通販などでは日々、新製品や類似品が生まれており、調査しきれないほどの品種が存在する。

 弊社では年間数十機種のワイヤレス機器を分解しているが、欧米のメジャー通信マイコンメーカーの採用とともに、非常に多くの中国製通信マイコンの採用が確認できている。その中で、Espressif製チップの採用は多い。

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