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» 2019年05月08日 08時38分 公開

PCIM Europe 2019:SiC/GaNを生かすには「磁性部品のPCB統合」が鍵に (1/2)

パワーエレクトロニクスの展示会としては世界最大規模の「PCIM Europe 2019」(2019年5月7〜9日)が、ドイツ・ニュルンベルクで開幕した。1日目の基調講演には米国Virginia TechのFred Lee氏が登壇し、「Next Generation of Power Supplies」と題した講演を行った。

[村尾麻悠子,EE Times Japan]

 パワーエレクトロニクスの展示会としては世界最大規模の「PCIM Europe 2019」(ドイツ時間:2019年5月7〜9日)が、ドイツ・ニュルンベルクで開幕した。

Virginia TechのFred Lee氏

 1日目の基調講演にはVirginia TechのFred Lee氏が登壇し、「Next Generation of Power Supplies」と題した講演を行った。Lee氏は、「既存のパワーエレクトロニクス製品は、スイッチング周波数、効率、パワー密度など、いずれの点においても大幅に進化してきた。だが、これらを活用した既存の電源設計では、性能の上限が近づきつつある」と指摘し、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などのWBG(ワイドバンドギャップ)パワーデバイスが活用することが、鍵になると強調した。

SiC/GaNを生かせる設計手法を提案

 Lee氏は「GaNとSiCは、パワーエレクトロニクスにおいてゲームチェンジャーとなるのか」という疑問を聴衆に投げかけた上で、大きく3つの課題を挙げた。EMI(電磁妨害)、EMC(電磁両立性)をどう改善するか。集積、とりわけ磁性部品をどう集積するのか。そして、パワーエレクトロニクスのプリント配線板(PCB)製造において、いかに人手を減らせるか、である。Lee氏は、これらの解決につながる可能性がある電源の設計方法を、「OBC(On-Board Chager)にSiCとGaNを用いた場合」を例に挙げていくつか提案した。

こちらが、従来のOBCの回路。「これはSi(シリコン)デバイス向けであって、高周波には適していない」(Lee氏) (クリックで拡大)

 高周波におけるWBGパワーデバイスを使ったトポロジーでは、前段は、SiCを使ったZVS(Zero Volt Switching)トーテムポール型PFC(力率改善)回路、後段はGaNを用いたCLLC共振型DC-DCコンバーターを採用する方法を提案した。「こうすれば前段は300kHz、後段は500kHzで駆動できる」とLee氏は述べる。

高周波におけるWBGパワーデバイスを使ったトポロジー(クリックで拡大)

磁性部品をいかにPCBに統合するか

 講演を通してLee氏が最も強調した点の1つが、磁性部品だった。磁性部品をいかに減らして設計をシンプルにするか。そして、いかに磁性部品をPCBに統合できるかが鍵になると主張した。

磁性部品を集積する方法。1個のトランスを4つのトランスに分けることで、磁性部品の数を、前段36個、後段36個から前段12個、後段12個にまで減らすことができるとする(クリックで拡大)
Lee氏は、PCB(プリント配線板)巻線インダクターを使うことも提案した。一般的なインダクターを使う場合に比べて、巻線損失もコア損失も増加するが、2つの巻線の巻き方を交互にする(図中の「PCB winding w/ interleave」)ことで、インダクターをPCBに統合できるというメリットを生かしつつ、損失を許容範囲に抑えられるとする(クリックで拡大)
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