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DRAM価格、2019年に40%下落と予測、Yole2020年からは好転の見通し(1/2 ページ)

フランスの市場調査会社Yole Développementは6月、最新のメモリ市場に関する予測を発表した。同社は、2018年から続くメモリの供給過剰によって、「DRAMの価格が2019年に40%下落する。2020年までに再び上昇することはないだろう」としている。

» 2019年07月01日 09時30分 公開
[永山準EE Times Japan]

 フランスの市場調査会社Yole Développementは6月、最新のメモリ市場に関する予測を発表した。同社は、2018年から続くメモリの供給過剰によって、「DRAMの価格が2019年に40%下落する。2020年までに再び上昇することはないだろう」と予測している。

 同社によると、DRAMとNANDフラッシュメモリ(以下、NAND)はメモリ市場全体の97%を占めており、2018年の全体の売上高は1600億米ドルと過去最高額を記録。2016〜2018年の年平均成長率は32%だったという。

 しかし、2018年第4四半期から、スマートフォンの販売数低迷やデータセンターの需要の鈍化などの需要減によってDRAMとNANDの両市場で供給過剰が発生、メモリの価格が下落していることを挙げ、「DRAMの価格は2019年に約40%下落し、2020年まで再び上昇することはないだろう」と予測。また、NANDについても、「予想される需要の回復が鈍いままで、在庫水準が上昇し続けているため、2019年後半の市場の回復の期待は縮小している」という。

データ中心社会で市場の見通しは明るい

 一方で、同社は長期的な予測として、DRAMとNANDの売上高が、2018〜2024年でそれぞれ年平均成長率1%と4%で成長する、と分析している。これは、スマートシティーやコネクテッドホーム、インテリジェントファクトリー、スマートフォンやパーソナルアシスタント、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)、自動運転車など、AI(人工知能)/IoT(モノのインターネット)技術の成長、普及によって増え続ける、メモリの大容量化への需要が要因だ。

1システム当たりのDRAMとNANDフラッシュメモリの平均価格、容量の予測(クリックで拡大):出典Yole Développement

 同社は、サーバ、スマートフォン、PC、エンタープライズ/クライアントSSD、自動車など、さまざまなシステムにおけるメモリの要件について系統的に調査している。

 DRAMはデータセンター用サーバ、NANDはエンタープライズSSDにおいて、システム当たりの価格、容量の水準が高く、同社は「これらは、DRAMとNANDにとって最も重要なシステムだ」と説明。さらに、自動車分野については、最も急速に成長している分野であり、「先進運転支援システム(ADAS)が普及することで、求められるメモリ容量も桁違いに増加する」と、今後の更なるメモリ需要増の見通しを示している。

 また、不揮発性メモリにおいては、「Intelの新世代のXeonプロセッサが新しいOptane DC パーシステント・メモリ*)に対応することから、Intelは、独自の相変化メモリ(PCM)の開発を進めるSamsungとSK Hynixのシェアの一部を奪って、メモリ事業を成功させる可能性がある」とも分析している。

*)Optane DC パーシステント・メモリはPCMメモリである。

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