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» 2020年01月06日 12時30分 公開

2020年もさらなる成長に期待:加速するAIチップ市場、2019年の重要な動き

2019年のAI(人工知能)アクセラレーターのハードウェアセグメントは、非常に活気があった。AIアクセラレーターのハードウェア分野における、2019年の重要な出来事トップ5を紹介する。

[Sally Ward-Foxton,EE Times]

 2019年のAI(人工知能)アクセラレーターのハードウェアセグメントは、非常に活気があった。あらゆる垂直市場で新興企業が誕生し、以前から同分野に携わってきた現行企業と競いながら進化を続けている。真のジャイアントキラーが現れたかどうかを評価するには時期尚早かもしれないが、さまざまな画期的なアーキテクチャが発表され、AIチップ市場の展望はますます興味深いものになっている。

 2020年以降も大きな影響が続くと予想される、AIアクセラレーターのハードウェア分野における、2019年の重要な出来事トップ5を紹介する。

小型エッジデバイスへのAIの搭載

 2019年7月に開催されたTinyMLグループの決起集会は、超低消費電力デバイスに搭載されるAI向けソフトウェアとハードウェアという新たな業界セグメントの誕生を示すものとなった。TinyMLグループは、機械学習(ML)アプローチとして、消費電力が1mW以下(スマートフォンで常時動作するアプリケーションのしきい値)であることに焦点を当てている。

 GreenWaves TechnologiesやEta Compute、Esperanto Technologiesなどの新興企業が超低消費電力のAIアクセラレーターの開発に取り組む一方で、XnorやPicovoiceのように、既存のマイクロコントローラーのハードウェアにMLを適応させることに取り組んでいる企業もある。この他、Googleは、限られたリソース環境に同社のML向けソフトウェアライブラリ「TensorFlow」を適応させるモバイル向けフレームワーク「TensorFlow Lite」を提供している。

TinyMLグループのミーティングでプレゼンを行うGoogleのエンジニアNat Jefferies氏 画像:TinyML

米Groqが演算性能1000TOPSの大型チップを発表

 業界で最も熱い期待が寄せられている新興企業の一つであるGroqは2019年秋に、同社が開発するアーキテクチャの詳細について、その一部を明らかにした。GoogleのML向けチップ「TPU(Tensor Processing Unit)」の開発者が6700万米ドルの資金を調達して共同設立し、秘密裏に開発を続けてきた同社は、高い注目を集めていたが、「AI Hardware Summit」(2019年9月17〜18日、米国カリフォルニア州)への参加を土壇場になって取りやめた。

 同イベントの終了後、EE Timesは同社のシニアリーダーシップチームにインタビューし、同社チップのソフトウェアで定義できるハードウェアアーキテクチャと同社が機械学習推論の「予測可能な性能」と呼ぶものについて詳細を聞いた。

 同社は2019年11月17〜22日まで米国コロラド州デンバーで開催されたハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)に関する国際会議「SC19」で、ステルスモードを正式に解除し、1POPS(Peta Operations Per Second = 1000TOPS)の演算処理が可能な大型チップを発表している。

Microsoftが英GraphcoreのAIアクセラレーターチップの利用提供を開始

 Microsoftは2019年11月に、英国の新興企業Graphcoreが設計および構築したAIアクセラレーターチップ「Colossus Intelligence Processing Unit(IPU)」の利用提供を開始した。Microsoftは、「2年にわたりIPUチップを中心としたシステムをGraphcoreと共同開発してきた」と述べている。IPUは現在、Microsoftのクラウドプラットフォーム「Azure」の一機能として顧客に提供されている。

GraphcoreのAIアクセラレーターチップ 画像:Graphcore

新しい推論ベンチマークの登場

 2019年11月、機械学習の業界標準ベンチマーク「MLPerf」において推論(Inference)のベンチマークがリリースされた。大手企業からスタートアップまで、あらゆる企業がこの分野で性能の優位性を主張しているが、この新しい推論ベンチマークによって、どの企業が優位に立っているのかを明らかになり始めている。同ベンチマークで最高記録を達成しているのはNVIDIAだが、イスラエルの新興企業Habana Labsがその後を追っている。

IntelがHabana Labsを買収

 Intelは2019年12月、Habana Labsを約20億米ドルで買収したと発表した。この買収は、同じくIntelが買収したNervanaの運命はどうなるのか、という議論を呼んだ。Nervanaは、学習および推論向けチップを発表したばかりだったこともあり、多くの業界関係者が、Habana Labsの買収を「Nervanaのハードウェア性能が良くないため」とみている。

 この買収は、Intelにとって、AIアクセラレーション技術の垂直性がいかに重要であるかを示すには、極めて重要だった。なおIntelは、2019年における同社のAI関連の売上高は35億米ドルに上ると予測している。

Habana Labsの学習用チップ「Gaudi」 画像:Habana Labs

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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