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ありとあらゆる電子機器にコンデンサが使われる福田昭のデバイス通信(223) 2019年度版実装技術ロードマップ(33)(1/2 ページ)

第4章「電子部品」からコンデンサについて解説する。コンデンサの構造や働き、種類を説明しよう。

» 2020年01月17日 09時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]

「LCR部品」の「C」はコンデンサ(キャパシタンス)を意味する

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第33回である。

 本シリーズの前々回から、第4章「電子部品」の概要を説明している。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。前回は「4.1 LCR部品」の第1項「4.1.1 インダクタ」の概要をご紹介した。今回は、第2項「4.1.2 コンデンサ」の概要を解説する。

2019年6月4日に東京で開催された「2019年度版 実装技術ロードマップ」完成報告会のプログラム。本シリーズの前々回から、第4章「電子部品」(プログラムの8番)の概要を紹介している。出典:JEITA(クリックで拡大)
第4章第1節「4.1 LCR部品」の目次詳細。ロードマップ本文から筆者が書き出したもの(クリックで拡大)

コンデンサの構造と働き

 コンデンサは、誘電体の薄膜を2枚の電極(導電体)で挟んだ構造をしている。コンデンサに電圧(V)を加えると、静電容量(C)に応じた電荷(q)を蓄積する。すなわち「q=V×C」の関係がある。静電容量Cは、薄膜の面積(A)に比例し、誘電体の厚み(d)に反比例し、誘電体の誘電率(ε)に比例する。すなわち「C=ε×A/d」の関係がある。ここで誘電率(ε)は、真空中の誘電率(ε0)と比誘電率(εr)の積で表現することが多い。比誘電率の高い材料ほど、同じ寸法でも大きな静電容量のコンデンサとなる。

 コンデンサには主に、2つの働きがある。1つは、電荷を蓄積することによって、電圧の変化に応じて電流を充放電すること。もう1つは、交流回路や高周波回路などでリアクタンス(抵抗成分)として働くことである。これら2つの働きにより、さまざまな用途にコンデンサが使われている。具体的には電源電圧やバイアス電圧などの安定化や脈流の平滑化、直流に重畳した高周波雑音の吸収(デカップリング)、オフセットした交流回路における直流(オフセット)成分のしゃ断(カップリング)などがある。ありとあらゆる電子機器が搭載していると言えるほど、コンデンサはごく普通に使われている。

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