メディア
連載
» 2020年02月12日 11時30分 公開

福田昭のデバイス通信(228) 2019年度版実装技術ロードマップ(38):用途別に進化するチップ抵抗器 (2/2)

[福田昭,EE Times Japan]
前のページへ 1|2       

電極の配置を変更して放熱性を向上

 次の進化方向「放熱性の向上」に話題を移そう。チップ抵抗器はもともと、短辺に電極がレイアウトされていた。抵抗体は放熱性が低く、電極を通じての放熱がチップ抵抗器の許容電力(定格電力)を大きく左右する。

 そこでチップ抵抗器の長辺に電極をレイアウトすることで電極の体積を増加させ、放熱性を大きく向上させた製品が多くの抵抗器メーカーから販売されている。このようなチップ抵抗器は「長辺電極タイプ」「長辺チップ抵抗器」などと呼ばれる。また区別のため、従来のチップ抵抗器を「短辺電極タイプ」と呼ぶことがある。

長辺電極タイプのチップ抵抗の例。ロームが2010年8月に製品発表した「PML100シリーズ」の外観写真(「3264」(3.2mm×6.4mm)サイズ)。ロームの新製品リリースから。なおこの図面は「2019年度版 実装技術ロードマップ」には掲載されていない(クリックで拡大)

 長辺電極タイプの製品化は当初、「3264」(「3164」)サイズや「1632」(1.6mm×3.2mm)サイズなどのチップ抵抗器としては大きめの品種が多かった。最近では「0510」(0.5mm×1.0mm)サイズや「0816」(0.8mm×1.6mm)サイズといった小型品が登場している。

大気汚染によってチップ抵抗器が断線

 ここからは3番目の進化方向「耐硫化」を簡単に説明する。耐硫化とは、大気中の硫黄酸化物などに含まれる硫黄(S)に触れてもチップ抵抗器が正常に働くことを意味する。

 アジア地域では、大気汚染の問題が深刻化している。大気汚染物質の代表に硫黄酸化物がある。このため、エアコンの室外機や車載電装品、移動電話基地局などの電子回路に搭載したチップ抵抗器は、硫黄酸化物に曝される。

 ここで従来のチップ抵抗器は内部電極に銀(Ag)を使っているので、銀と硫黄が反応して硫化銀(Ag2S)を形成することがある。硫化銀が形成されて成長すると、内部電極が断線して抵抗器としては動作しなくなってしまう。

チップ抵抗器が硫黄(S)によって断線する仕組み。ロームのWebサイトから。なおこの図面は「2019年度版 実装技術ロードマップ」には掲載されていない(クリックで拡大)

 対策としてはまず、内部電極の上部に保護膜を設けて断線に至る時間を稼ぐタイプ(遅延タイプ)が製品化された。次に内部電極を銀ではなく、硫黄と反応しない材料に変更したタイプ(完全タイプ)が開発された。現在では完全タイプの耐硫化チップ抵抗器が市販されている。

完全タイプの耐硫化チップ抵抗器(SFRシリーズ)の特性例。このグラフで「第1世代品」とあるのが「遅延タイプ」。ロームが2016年6月に発表したニュースリリースから。なおこの図面は「2019年度版 実装技術ロードマップ」には掲載されていない(クリックで拡大)

(次回に続く)

⇒「福田昭のデバイス通信」連載バックナンバー一覧

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.