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» 2020年12月21日 09時30分 公開

主要AIチップの次世代開発は中止:Eta Computeがソリューションメーカーに転向へ

AI(人工知能)チップの新興企業であるEta Computeは、チップのみを開発する企業から方向転換して、エッジデバイスの超低消費電力AIを専業とするシステムソリューションメーカーに転身するという。

[Sally Ward-Foxton,EE Times]

 AI(人工知能)チップの新興企業であるEta Computeは、チップのみを開発する企業から方向転換して、エッジデバイスの超低消費電力AIを専業とするシステムソリューションメーカーに転身するという。また同社は、HMI(Human Machine Interface)ハードウェア/ソフトウェアを手掛ける米Synapticsと戦略的パートナーシップを結んだことも明らかにした。Synapticsは、Eta Computeに資金を提供しており、Eta Computeは、自社のソフトウェア「TENSAI Flow」を独占的にライセンス供与する予定だという。

 Eta Computeは引き続き、既存の超低消費電力AIチップ「ECM3532」を提供していく予定だが、今後その次世代版を発表することはないという。同社は、ECM3532とSynapticsの新型AI SoC(System on Chip)「Katana」をベースとしたボードおよびモジュールの開発にも取り組んでいく考えだ。

Eta Computeの「ECM3532」を搭載したセンサーボード 画像:Eta Compute(クリックで拡大)

 Eta Computeは、シリーズCの投資ラウンドを終え、1250万米ドルの資金を調達したところだ。これにより同社は、合計で3150万米ドルの資金を獲得したことになる。この投資ラウンドはSynapticsが主導し、既存の投資家たちが参加した。SynapticsのCSO(最高戦略責任者)を務めるSatish Ganesan氏が、Eta Computeの取締役会に参加する予定だという。

 Eta ComputeのECM3532は、超低消費電力AIoT(AI+IoT)アプリケーション向けに最適化されたSoCで、Arm「Cortex-M3」コアとNXP Semiconductorsの「CoolFlux DSP」コアを搭載している。特許取得済みの独自技術である連続電圧/周波数スケーリング(CVFS)を特長とし、さまざまなセンサーアプリケーションで、マイクロワットレベルの消費電力を実現するという。TENSAI Flowソフトウェアスタックは、ECM3532向けのコンパイラと、低消費電力動作向けに最適化されたニューラルネットワークモデル「Model Zoo」を搭載している。

 Synapticsは2020年夏に、BroadcomのワイヤレスIoT(モノのインターネット)事業部門を買収した他、ドッキングステーションICやソフトウェアを手掛けるDisplayLinkも買収するなど、自社のポートフォリオをIoT分野向けに多様化させてきた。

 SynapticsのCSOであるGanesan氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「当社は、スマートスピーカーやSTB(セットトップボックス)、スマートディスプレイ、ヘッドセットなどの製品向けにSoCを出荷している。これらの製品分野は現在、エッジ上のインテリジェンスを高める方向へと進んでいる。電池のエネルギーのみで推論を実行するのは非常に難しいことから、SynapticsはKatanaプラットフォームを開発した」と説明した。Katanaは、超低消費電力のエッジデバイス向けに最適化された、AI対応のマルチコアSoCを搭載する他、Eta ComputeのTENSAI Flowソフトウェアも含む予定だという

 Ganesan氏は、「市場が広範にわたるため、製品ファミリーを追加していきたいと考えている」と述べた。

SynapticsのSoC「Katana」のブロック図 出典:Synaptics(クリックで拡大)

 Eta ComputeのECM3532のように、Katanaは、標準的なArmコアと低消費電力に最適化したカスタムDSPコアを搭載した、マルチコアアーキテクチャとなっている。ただ、Katanaには、より高い性能を実現するオプションもあり、その場合は2種類以上の推論を並行して行えるという。ECM3532とアーキテクチャの面で類似点はあるが、Katanaの設計はSynapticsが行った。

 では、なぜSynapticsはEta Computeを買収しなかったのだろうか。

 Ganesan氏は「現段階では、当社にとっては買収ではなく、Eta Computeへの投資が最適だからだ」と説明している。

 両社はともに、エッジAI市場参入を強化していく。

 「Eta Computeは、Katanaシリコンを使ってモジュールやボード、プラットフォームを開発する予定だ」とGanesan氏は述べる。「顧客やアプリケーションによっては、Eta Computeのソフトウェアやコンパイラと組み合わせ、われわれのシリコンとパッケージ化して提供することも可能だ。Eta ComputeとSynapticsは、ソリューションを共同開発するようなものだ」(同氏)

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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