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Micronが「3D XPoint」開発から撤退へ、工場も売却CXL活用の新メモリ開発に注力

Micron Technology(以下、Micron)は2021年3月16日(米国時間)、同社がIntelと共同開発した不揮発メモリ「3D XPoint」の開発から撤退し、CXL(Compute Express Link)を用いる新しいメモリ製品への開発へとリソースを移行すると発表した。

» 2021年03月19日 19時11分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 Micron Technology(以下、Micron)は2021年3月16日(米国時間)、同社がIntelと共同開発した不揮発メモリ「3D XPoint」の開発から撤退し、CXL(Compute Express Link)を用いる新しいメモリ製品の開発へとリソースを移行すると発表した。

 3D XPoint開発からの撤退に伴い、3D XPointの製造拠点である米ユタ州リーハイ(Lehi)にある工場の売却も進めている。Micronのプレジデント兼CEOを務めるSanjay Mehrotra氏によれば、現在、複数の候補企業がおり、2021年内にも売却合意にこぎ着ける予定だ。

 CXLは、データセンター向けに設計された、オープンな業界標準インターコネクト規格。CPUとメモリなどのデバイス間を高速で接続する。2021年1月には、既に次世代版の「CXL 2.0」が発表された。

2021年内の売却合意を目指すリーハイ工場 画像:Micron(クリックで拡大)

 Mehrotra氏は、同日行われた投資家向けのカンファレンスコールで、「顧客各社やパートナー各社と何度も慎重な議論を重ねた結果、当社は、R&D投資の優先順位を変更し、CXLを活用した新しいメモリソリューションの開発に向け、3D XPointの開発から即座に撤退することを決断した」と述べている。

普及に苦しむ「3D Xpoint」メモリ

 Micronのエグゼクティブバイスプレジデント兼CBO(Chief Business Officer)を務めるSumit Sadana氏は同カンファレンスコールで、「3D XPointメモリの価値は、DRAMよりも低コストのパーシステントメモリ、あるいは、NAND型フラッシュメモリよりも大幅に高速なストレージという位置付けにあった。ただ、3D XPointを発表したその後の数年間で、データセンターのワークロードや顧客の要求は進化し続けている」と語る。

 同氏は「ストレージ分野では、NANDフラッシュの大幅な低コスト化が、3D XPointの幅広い採用をいまだに阻んでいる。そのため、3D XPointベースのSSD製品は、ニッチ市場向け以上のものにはならないと考えた。3D XPointは戦略上、長期的な市場機会としては常にメモリがターゲットだった」と続け、思うように市場が広がらない3D XPointを開発し続けることが難しかったことを示唆した。

 Sadana氏は「業界は現在、CXLという高性能インタフェースの採用により、データセンターのアーキテクチャが大きく変わる時期に来ている。これは、Micronに大きなビジネス機会をもたらす」と語る。

 「CXLを活用した新しいメモリ製品を開発する上で、われわれは、データセンターの増え続けるワークロードに対応することと、ソフトウェアインフラを変更するなど採用の障壁を下げることに焦点を当てる。この新しいメモリソリューションによって、3D XPointの普及はさらに遅れ、市場機会も狭めるかもしれない。3D XPointのROI(投資利益率)に対する影響を考慮した結果、撤退という決断に至った」(Sadana氏)

 Mehrotra氏はプレスリリースで、「メモリとストレージは今日のデータエコノミーにおいて極めて重要であり、データセンター向けメモリに対するイノベーションへの需要は、かつてないほど高まっている。Micronは次世代データセンターに向けたイノベーションに貢献する」と語った。

 Micronは2019年10月、同社初となる3D XPointベースのSSD「X100」を発表した。

Micronが発表した「X100」。同社が2019年10月に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催したイベント「Micron Insight 2019」にてEE Times Japanが撮影(クリックで拡大)

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