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» 2021年03月31日 11時30分 公開

中国YMTCの3D NANDフラッシュメモリを搭載したストレージ製品福田昭のストレージ通信(188) アナリストが語る不揮発性メモリの最新動向(15)

今回は、中国のNANDフラッシュベンチャーであるYMTCが開発した3D NANDフラッシュメモリ技術「Xtacking(エクスタッキング)」と、同社の3D NANDフラッシュメモリを搭載したストレージ製品を報告する。

[福田昭,EE Times Japan]

独自の3D NANDフラッシュ技術を特徴とするYMTC

 フラッシュメモリとその応用に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」が2020年11月10日〜12日に開催された。FMSは2019年まで、毎年8月上旬あるいは8月中旬に米国カリフォルニア州サンタクララで実施されてきた。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の世界的な大流行(パンデミック)による影響で、2020年のFMS(FMS 2020)は開催時期が3カ月ほど延期されるとともに、バーチャルイベントとして開催された。

 FMSは数多くの講演と、展示会で構成される。その中で、フラッシュメモリを含めた不揮発性メモリとストレージの動向に関するセッション「C-9: Flash Technology Advances Lead to New Storage Capabilities」が興味深かった。このセッションは4件の講演があり、その中でアナリストによる3件の講演が特に参考になったので、講演の概要をご紹介する。

 なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。

 本シリーズの第10回から、技術調査会社TechInsightsでシニア技術フェローをつとめるJeodong Choe氏が「Technology Trend:NAND & Emerging Memory(NANDフラッシュメモリと次世代メモリの技術動向)」と題して講演した内容を説明している。前々回(第13回)は3D NANDフラッシュメモリ(以降は「3D NANDフラッシュ」と表記)の高層化と多値化、記憶密度の推移を述べた。そして前回(第14回)は周辺回路とメモリセルアレイを積層して3D NANDフラッシュの記憶密度を高める技術を解説した。

講演のアウトライン。3D NANDフラッシュの開発ロードマップと要素技術、次世代メモリと埋め込みメモリの開発ロードマップなどを解説する。出典:FMS 2020の講演「Technology Trend:NAND & Emerging Memory」の配布資料(クリックで拡大)

 今回は、中国のNANDフラッシュベンチャーであるYMTC(Yangtze Memory Technologies Co., Ltd.)が開発した3D NANDフラッシュメモリ技術「Xtacking(エクスタッキング)」と、同社の3D NANDフラッシュメモリを搭載したストレージ製品の事例をご報告する。

「Xtacking(エクスタッキング)」技術を構成するシリコンダイを観察

 YMTCの沿革については、本シリーズの第5回でご説明した。「Xtacking(エクスタッキング)」技術とは、メモリセルアレイと周辺回路を別々のシリコンウエハーに形成し、2つのウエハーを張り合わせることでメモリセルアレイと周辺回路の積層構造を形成する技術である。メモリセルアレイと周辺回路を同じシリコンウエハーでモノリシックに形成する場合に比べ、周辺回路に与える高温のストレスを非常に小さくできる。

 YMTCはワード線の積層数が64層の3D NANDフラッシュメモリ(製品)から、「Xtacking」技術を導入した。講演者であるTechInsightsのChoe氏は、YMTCが生産したシリコンダイを分析した結果を示していた。記憶容量は256Gbit、多値記憶はTLC方式、シリコンダイ寸法は12.0mm×4.83mm(57.96mm2)、記憶密度は4.417Gbit/mm2である。

「Xtacking(エクスタッキング)」技術の実際。左はメモリセルアレイのシリコンダイ写真と周辺回路のシリコンダイ写真。同じ寸法のシリコンダイを張り合わせる。右は2つのシリコンウエハーを張り合わせて製造したシリコンダイの断面を電子顕微鏡で観察した画像。下端が周辺回路のシリコンダイ、中央がNANDメモリセルアレイのシリコンダイ、上が再配線層。出典:FMS 2020の講演「Technology Trend:NAND & Emerging Memory」の配布資料(クリックで拡大)

USBメモリやSSDなどがYMTCのNANDフラッシュを採用

 Choe氏は講演で、YMTCの3D NANDフラッシュメモリを搭載したストレージ製品の事例も紹介した。メモリ応用製品のメーカーであるUNIC Memory TechnologyはUSBメモリの製品群にYMTCの32層品と64層品を搭載した。同じくメモリ応用製品のメーカーであるGloway(光威)は、512GバイトのSSDにYMTCの3D NANDフラッシュを採用した。このほかYMTC自身が、自社ブランドで512Gバイトや1TバイトなどのSSDを販売している。

YMTCの3D NANDフラッシュメモリを搭載したストレージ製品の事例。出典:FMS 2020の講演「Technology Trend:NAND & Emerging Memory」の配布資料(クリックで拡大)

次回に続く

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