ロームは、独自構造を採用することで、耐圧150VのGaN HEMTにおけるゲート・ソース定格電圧を8Vに高める技術を開発した。ゲート駆動電圧に対するマージンが従来に比べ3倍も高くなり、電源回路の信頼性を向上できるという。
ロームは2021年4月、独自構造を採用することで、耐圧150VのGaN HEMTにおけるゲート・ソース定格電圧(ゲート耐圧)を8Vに高める技術を開発したと発表した。ゲート駆動電圧に対するマージンが従来に比べ3倍も高くなり、電源回路の信頼性を向上させることができるという。
耐圧が200V以下の一般的なGaNデバイスは、ゲート駆動電圧が5Vである。これに対しゲート・ソース定格電圧はこれまで6Vと低く、電圧マージンが1Vと極めて狭かった。このため、スイッチング動作などでオーバーシュート電圧が発生した場合、デバイスの劣化や破壊につながることもあった。
そこでロームは、独自のデバイス構造を採用し、GaNデバイスのゲート・ソース定格電圧を8Vまで拡大。この結果、電圧マージンは3Vまで広がった。また、実装性や放熱性に優れたパッケージを採用しており、現行シリコンデバイスからの置き換えも容易だという。
さらに、銅クリップ接合のパッケージ技術を採用することで、従来パッケージ品に比べ寄生インダクタンス値を55%低減した。スイッチング損失は、シリコンデバイスに比べて約65%も低減できるという。
ロームは今後、今回の技術を用いてGaNデバイスを開発、2021年9月にもサンプル品を出荷する予定である。主な用途として同社は、データセンターや基地局などの48V入力降圧コンバーター回路、基地局パワーアンプ部の昇圧コンバーター回路、D級オーディオアンプ、LiDAR駆動回路、ポータブル機器向けワイヤレス給電回路などを挙げた。
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