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減ることのない半導体/電子部品偽造 ―― リスク承知の購入は危険半導体製品のライフサイクルに関する考察(3)(3/3 ページ)

» 2021年04月26日 11時30分 公開
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近年では受動部品の偽造も

 近年の傾向として受動部品の偽造が増えている。ERAIによると、2019年単年で見ると、コンデンサーの偽造が群を抜いて多く報告されている。これは全体の17%以上になっている。この背景には、コンデンサー製品の需要が急増し、供給が追い付かなかったためとみられる。

 次に、偽造の例として表面実装タイプの抵抗のケースを示す。この製品は、非常に小さくマーキングがない。この製品の場合、通常5000個のリールで販売される。偽造者は、安価な市販の抵抗器のリールを購入し、そのリールを高価な高抵抗の高性能抵抗器であると偽って販売する。この場合、回路の特性は設計値と違うものになったとしても、機器として故障にならない可能性がある。仮に温度特性だけが異なる場合は、平常時には違いが出にくく、不具合は発生しない可能性がある。唯一、それらが搭載された機器が出荷検査時、または出荷後に市場で故障した際の解析時にその特性を確認するまで、使用している半導体製品が必要とする仕様を満たしていない価値の低い抵抗器であることを確認できない。偽造であることを見つけることは困難である

 半導体/電子部品を購入する際、サプライチェーンに偽造部品が流通していることを認識するだけでは不十分だ。

 Electronic Components Industry Association(ECIA)は、偽造部品の購入を回避する最善の方法は、オリジナル半導体メーカーまたはその認定販売代理店からのみ直接購入することであることを推奨している。

 しかしながら、医療、社会インフラ、産業機械、防衛および航空宇宙産業に関連した企業の場合、入手しにくい古い半導体製品も必要なことが多い。古い半導体製品は、既に製造中止になっていたり、認定販売代理店も在庫を保管していなかったりする。そのため、認定されていない販売代理店からの購入検討をしなければならない場合がある。

 当然のことながら、オリジナル半導体メーカーに認定されていない販売代理店から購入する必要がある場合は、その販売代理店を慎重に評価する必要がある。

 購入する側としては、その販売代理店が「オリジナル半導体メーカーまでの流通履歴を追跡できるかどうか」「偽造品や仕様を満たしていない半導体製品を根絶するためにスクリーニングなどの対応が可能かどうか」を見極めてから購入することが重要である。

 例えば、光学顕微鏡や化学薬品を使用した半導体製品の目視検査を行い、サンディングマーク(パッケージの表面を削り取った跡)、黒いトッピング(節自然なモールディング材の盛り上がり)、曲がったリード線、製品型番の書き換えの形跡など、偽造の疑いのある製品を発見、除去できる。

 不具合が見つかった半導体製品に対し、パラメーターアナライザーやカーブトレーサーのような装置を使用し、電気テストを実施できる。X線装置で半導体製品の内部を確認し、パッケージ内部のICチップやワイヤの存在を確認できる。

 偽造品や低品質の半導体製品を検出するために、蛍光X線分析(XRF)機による検査を実施しているところもある。このXRF機は、部品の材料組成を測定し、それらを本物の部品と比較して、対象の半導体製品が本物であるかどうかを判断できる。

 さらには、半導体製品のふたを取り外したり、最上層を機械的あるいは科学的に剥離したりしてICチップなどの内部構造を露出させ、それが本物であるかどうかを判断するための開封(デキャップ)装置を購入している。

 このようなテストとスクリーニングは、半導体製品が、偽造品であるかどうかを特定するのに大いに役立つ。

 半導体製品の偽造品はすぐになくなるわけではない。購入者は半導体製品をリスク承知で購入すべきではない。

最後に

 半導体を使用する機器メーカーは、半導体製品の製造中止や廃品種に対して積極的にアプローチすることで、生産中断のリスクを軽減し、偽造部品に対しても強い立場を取ることができる。半導体製造中止品の代替ソリューションは、さまざまな障害を引き起こす可能性があり、時には隠れた不整合をもたらす。その中には明らかに認識できるものもあれば、診断が難しいものもある。これらの障害を排除するためには、高い信頼性と費用対効果の大きい選択が必要である。

【著:Rochester Electronics, Ltd.日本営業本部

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