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JOLED、印刷法で21.6型有機ELを製品化、次は大型へスマホ向けは慎重姿勢も(1/3 ページ)

JOLEDは2017年5月17日、RGB印刷方式で2017年6月から量産を行う予定の21.6型有機ELパネルを公開。同社社長で2017年6月にジャパンディスプレイ(JDI)の社長兼CEOに就任予定の東入來信博氏が会見に応じ、今後の有機ELパネルの開発方針などを明らかにした。

» 2017年05月18日 09時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

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「サンプル価格で60万円から100万円の間」

 「印刷方式もここまで来たということを見せたかった」(JOLED社長 東入來信博氏)

 JOLEDは2017年5月17日、RGB印刷方式で製造し4月から有償サンプルを開始した有機ELパネルを報道陣に公開した。

2017年6月から量産開始予定の21.6型 4K有機ELパネル。まずはソニーが超音波診断装置のモニター用として採用を決定しているという (クリックで拡大)
側面から見た様子 (クリックで拡大)

 公開した有機ELパネルは、画面サイズ21.6型(478.1×268.9×548.5mm)で、解像度は4K相当の3840RGB×2160画素(829万画素)。精細度は204ppi。パネル重量は500gでパネル厚1.3mm。輝度は350カンデラ/m2(ピーク時)、コントラストは100万対1だ。

 寿命については、1000時間(LT95、350カンデラ/m2)。「既に(JOLEDの)大株主であるソニーが採用を決めていることからも、寿命など実用段階にあるということを理解いただきたい」(東入來氏)

 価格については「サンプル価格で60万円から100万円の間」(東入來氏)との表現にとどめた。量産開始時期については「あと1カ月で、量産技術確立のマイルストーンに達するところまできた」とし、2017年6月から量産に移行する予定。製造については、ジャパンディスプレイ(JDI)石川工場(石川県川北町)内にある製造ラインで実施する。同製造ラインは、4.5世代(730×920mm)基板対応製造ラインで生産能力は月産2300枚(21.6型パネル換算で6900枚)で研究開発用ラインの機能も兼ねる。東入來氏は「月産2000枚程度のライン。量産とは思っていない」とも述べた。

印刷法と蒸着法

 有機ELパネルの製造法には、JOLEDが手掛ける印刷法とともに、蒸着法が存在する。RGBの画素を1色ずつ形成するRGB蒸着法での有機ELパネル製造は、Samsung Electronicsが主にスマートフォンに向けた5〜10型の小型パネルで先行する。

蒸着法の概要と技術課題 (クリックで拡大) 出典:JOLED

 ただ、RGB蒸着法は技術的に12型以上の中大型パネルの製造が困難だとされる。また蒸着法としては、RGB個別の画素を構成せず、RGBの層を重ね白色を面で発光する白色EL蒸着法もあり、LG Electronicsなどが50型以上の大型パネルの製造に用いているが、性能や構造面での制約があり、中小型パネルへの適用が難しいとされる。

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