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» 2017年09月12日 11時30分 公開

福田昭のストレージ通信(75) 強誘電体メモリの再発見(19):従来型材料を使った強誘電体トランジスタの研究開発(後編) (1/2)

強誘電体トランジスタ(FeFET:Ferroelectric FET)の研究をけん引したのは、日本の産業技術総合研究所(産総研)だった。後編では、産総研が開発したFeFETと、強誘電体不揮発性メモリを、同研究所の成果発表に沿って紹介していこう。

[福田昭,EE Times Japan]

日本の産総研が強誘電体トランジスタの研究をけん引

 前編では、ペロブスカイト系強誘電体材料や有機高分子強誘電体材料といった従来型の材料を使った「強誘電体トランジスタ(FeFET:Ferroelectric FET)」の研究初期の状況を説明した。

 前編でも述べたように1990年代前半に研究が始まったものの、データ保持期間が1カ月前後の強誘電体トランジスタを研究室レベルで確認できたのは、2004年〜2005年のことである。国立研究開発法人の産業技術総合研究所(産総研)が、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SBT)の強誘電体薄膜と、二酸化ハフニウムとアルミナによるゲート絶縁膜((HfO20.75(Al2O30.25)の組み合わせで初めて、良好なデータ保持特性を得た。

 産総研はその後も、従来型材料による強誘電体トランジスタの研究をけん引していく。2008年5月には、強誘電体トランジスタで108回(1億回)の書き換え回数を達成したと報道機関向けにリリース発表した。産総研の酒井滋樹氏を中心とする研究グループと、東京大学の竹内健准教授を中心とする研究グループの、共同研究成果である。

産業技術総合研究所(産総研)が2008年5月19日に発表した強誘電体トランジスタの書き換えサイクル特性。出典:産業技術総合研究所(参考リリース
試作した強誘電体トランジスタの光学顕微鏡観察写真。出典:産業技術総合研究所(参考リリース

 作製したトランジスタの構造は、p型シリコン基板、ハフニウム・アルミニウム・酸素(Hf-Al-O)のゲート絶縁膜、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SBT:SrBi2Ta2O9)の強誘電体薄膜、白金(Pt)のゲート電極である。基本的な構造は、2004年に発表した強誘電体トランジスタと変わらない。

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