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» 2018年01月22日 11時30分 公開

世界を「数字」で回してみよう(46) 働き方改革(5):あなたは“上司”というだけで「パワハラ製造装置」になり得る (11/12)

[江端智一,EE Times Japan]

ほとほとあきれるセクハラの実態

 (本文には展開していませんが)今回は「セクハラ」について、裁判事例などでいろいろ調べたのですが ―― 想像を絶する苦痛を伴う作業でした。

 「会社」というチンケなカゴの中で、人生半ばで、たまたま権力を得てしまった人間の中でも、特に"バカな男"の"バカさ加減"には、ほとほとあきれてしまいました。

 「セクハラ」は、被害者側(もっぱら女性)の不快感が発動要件となりますので、ほとんどの場合、加害者(もっぱら男性)には、加害意識が全くありません(絶無です)。

 『私は、男性としての魅力があるから、女性に対して不快感を発生させることはありえない』―― というように、自分を客観視できない"男"どもに、私が新人の時に書き残して置いたメモを公開します。

 このメモを最後まで読んで、現在の自分の「老醜」や、権力がなかったころの自分自身の「男性としての魅力のなさ」を振り返って、定量的に正しく自分を認識し直してください。

新人時代のメモ

 私が、上司のYさん(課長)と後輩二人と一緒に飲んでいたところ、少し酔って顔が赤くなった一つ年上の先輩Iさんが私たちのテーブルにやってきました。

 Iさんは、かなりお酒が入っているようで、呂律(ろれつ)が回っていない口振りで言いました。

Iさん:「課長! 私はねえ、もう、諦めたんですよ」

課長:「……何を?」

Iさん:「私はもう、この歳では『女性にモテる』と言うことを、諦めようと思うのですよ」

課長:「はい?」

Iさん:「私はね、次のフェーズ、つまり、今の課長の年齢で勝負に出ようと思うんですよ!」

 一同はポカンとしながら、Iさんの言葉を待ちました。

Iさん:「分かりませんか? 私は10数年後に『ダンディな男』になって、華々しくデビューするんですよ」

 私たちは、Iさんの言わんとしていることが、なんとなく分かって来ました。

 Iさんは、自分の年齢である20代後半の「若い男の魅力」によって女性を引き付けることには見切りをつけ、40代の「落ち着いた渋い男の魅力」で勝負に出ようと思っているらしい ―― と、いうことのようです。

Iさん:「そのためには、軽薄な世相や文化に見向きもせずに、教養を身に付けておくべきだと思うのですが、課長はどう思われますか?」

 お酒の飲めない課長のYさんは、ウーロン茶の入ったコップを静かにテーブルに置き、そして厳粛な顔で、Iさんの方を見つめると、静かに語り始めました。

Yさん:「I君。君には残念な話をすることになるが……」

 Yさんは、一度コップを取り上げウーロン茶を一口だけ飲んで、再びコップをテーブルに置いて語り始めました。

Yさん:「私の経験から、若い頃にモテていた奴であれば『落ち着いた渋い男の魅力』のある中年男になれる可能性は、必ずしもゼロではない、とは言えると思う」

 さらにYさんは続けて言いました。

Yさん:「しかし、若い頃すらモテなかった男が、40代になって女性にモテるようになることは絶対ない! と言う事実を、私はよく知っている。40代でモテている男性は、必ず20代でも女性にモテていたのだよ」

 理路整然とした課長のYさんの説明が、その場にいる若手研究員の頭に染み込むには、さほど時間はかかりませんでした。

 「40代で『モテる』こと」に対して「20代で『モテる』こと」は、十分条件ではないが、必要条件である ―― と。

 その後も、私たちは別の話題で飲んでいましたが、Iさんは「用事があるから」と言って、先に店を出て行きました ―― その背中は、どことなく寂しげでした。


 上記のメモの内容をもってしても、まだ定量化が十分でない、というのであれば、(公文章には記載できないとは思いますが)社内ルールなどで、以下の勧告文を入れるのも一興と考えます。

(1)20歳までに、5人以上の女性から「ラブレター」をもらったことがある
(2)20歳までに、3人以上の女性から「愛の告白」をされたことがある
(3)上記(1)(2)のいずれにも該当しない男性は、『女性に対する男性としての魅力』の自己認識について、自制的かつ抑制的に振る舞うことを強く勧告する

 え? 私ですか? ―― 私は、残念ながら「勧告対象」です。

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