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コネクターに続く事業としてセンサーを積極強化――TEジャパン上野社長特集「Connect 2018」(1/2 ページ)

TE Connectivityの日本法人・タイコ エレクトロニクス ジャパン(以下、TEジャパン)は2018年、主力のコネクター事業に続く事業として、センサー事業などの強化を進める方針だ。

» 2018年01月30日 09時30分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 電子部品大手TE Connectivityの日本法人であるタイコ エレクトロニクス ジャパン(以下、TEジャパン)は2017年に60周年を迎えた。TEジャパン社長を務める上野康之氏は、「次の60年、30年を考えた場合、変化に対応できるフレキシブルな体制を整える必要がある」と語る。そうした中で、TEジャパンは2018年、柔軟性を備えたグローバル人材の育成に努める他、コネクター事業に続く、新たな中核事業の創出を目指し、センサー事業などの強化を進めていく方針。今後の経営戦略について、上野氏にインタビューした。


10%超の増収を果たした2017年度

上野康之氏

EE Times Japan(以下、EETJ) 2017年度(2017年9月期)の業績はいかがでしたか。

上野康之氏 TEグローバルとしては、前年比8%増の増収となった。その中でTEジャパンの2017年度売上高は前年比10%増を上回る成長を果たすことができた。

 主力の自動車市場向け事業は、引き続き堅調で約5%の伸びを維持した。その一方で、2016年度まではあまり良くなかった民生/通信市場向け事業と産業市場向け事業の2事業が、前年比2割ほどの増収となった。この2事業が持ち直し、2017年は良い1年だったと思っている。

EETJ 民生/通信市場、産業市場向けのビジネスが好調だった要因は、どのように分析されていますか。

上野氏 産業市場については、FA機器、工作機械、半導体製造装置などの需要が、過熱気味と思えるほど旺盛だった。特に中国向け需要がけん引役を果たし、国内向けでも自動車製造関連の需要は好調だった。

 民生/通信市場では、家庭用ゲーム機向けにコネクターやアンテナの大口受注があったなど、良いアプリケーションに恵まれたことが成長の要因となった。

2018年度も7%の増収を計画

EETJ 2018年度の売上高見込みを教えてください。

上野氏 2018年度はTEジャパンとして7%の増収を見込んでいる。内訳は、自動車向けで6〜7%増。自動車向け以外についても、1桁パーセント台の成長を見込んでいる。

EETJ 各用途分野の市況見通しをお聞かせください。

上野氏 自動車市場については、全自動運転、コネクテッドカー、電動化というトレンドにより、エレクトロニクスの需要は増え続け、接続部品の成長機会は多くある。

 産業市場については、バブル気味で2017年後半から需要が減速するとの指摘もあった中で、高い需要水準を維持しており、勢いがある。材料価格など、今後の需要を占う上で参考になる先行指標も悪化しておらず、半導体製造装置や産業用ロボットの受注は好調だ。注視していく必要はあるが、IoT(モノのインターネット)化による本格的な需要増はまだまだこれからであり、中長期的な成長に期待している。

 民生/通信市場については、依然としてテレビやデジタルカメラ向けは厳しいものの、2018年度に入っても白物家電向けなどを含めて順調に推移している。

さらに先を見据えて取り組む61年目

EETJ 2018年の経営戦略についてはどのようにお考えですか。

上野氏 2018年は、TEジャパンにとって、61年目になる。

 外資系企業ながら、日本で60年以上の歴史を持つ会社は、エレクトロニクス業界では珍しい存在だ。これまでグローバルスタンダードをモディファイし、日本の顧客に提供し続けてきたことが、過去60年間、事業成長につながったと考えている。

 今後、30年先、60年先を考えると、大きな事業環境の変化に対応できるフレキシブルな体制の構築が必要だと考えている。3〜4年先は見通すことができたとしても、その先には、大きな変化が起こる可能性はあり先は見通すことができない。例えば、自動車も、所有する時代からシェアリング、共有する時代へと移り変われば、プレーヤーも変わる可能性がある。

 そこで、これまでダイバーシティ、多様な人材の育成に取り組んできたが、2018年はこれを一層進め、世界を舞台に活躍するグローバルタレントを日本から生み出したいと考えている。グローバルで活躍するリーダーを育てることで、大きな変化にフレキシブルに対応したい。

 事業面については、コア製品であり、中核事業であるコネクターでの収益維持、拡大はもちろんだが、コネクター以外の非中核事業への注力を積極的に強化していく。

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