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» 2016年12月22日 11時30分 公開

“異端児エンジニア”が仕掛けた社内改革、執念の180日(8):改革は“新しい形のトップダウン”であるべきだ (2/5)

[世古雅人,EE Times Japan]

改革プロジェクトを、経営刷新計画の一環にする?

 初回のプロジェクトミーティングには、Tコンサルの杉谷と若菜を招き、須藤以外のメンバーは、2人と初顔合わせをする場となった。神崎と若菜は女性同士で年齢も近いせいか、すぐに打ち解けたようだ。各自が簡単な自己紹介を終えると、須藤が話を切り出した。

須藤:「メンバーはそろったけど、まだわれわれのことをよく思っていない人も多くいる。ことの発端となったエバ機不正についても真実はまだ分かっていない。ハッキリ言えるのは社員が450人減ったというだけで、まだ何も始まっていないということだ」

末田:「そうだよな。まずはどう進めていくかを決めないと、辞めていった社員にも申し訳ない気がするよ」

佐伯:「最初にプロジェクトの立ち位置をしっかりしておかないといけないと思う。会社を何とかしたい連中が勝手に集まって、何か始めたでは説明がつかないからだ」

三井:「同感ですね。例えば、プロジェクトの活動として、どこかの部門の調査や社員のヒアリングをする時、仕事の邪魔をするな!と言われたらそれまでです」

大森:「そういうこと、マジ、言われそう……。お前、何の立場で動いているんだって」

須藤:「杉谷さん(Tコンサル)、こういうのはどうすりゃいいんでしょう?」

杉谷:「皆さんのおっしゃる通り、プロジェクトそのものの定義、何を目的にしているか、具体的に何をするかなどを社員に伝える必要があります。既に湘エレには経営刷新計画がオフィシャルに伝えられていて、全社員が知っています。これは1つ提案ですが、本プロジェクトを経営刷新計画の中に組み込んではどうでしょうか?」

荒木:「ただでさえ希望退職、賃金カットなど経営刷新計画のことはよく思っていない社員が多いので、プロジェクトをその中に入れるのはどうかと……」

一同:「確かに……」

杉谷:「経営刷新計画がある上に、今新たに改革プロジェクトが加わることで、社員からすれば、また新しいことをやるのか? と身構えるでしょう。こういう場合は、既成事実を作ってしまう方が得策です。つまり、既にあるもの――ここでは経営刷新計画ですが――社内でオフィシャルになっているものを踏み台にするんですよ」

須藤:「それってつまり、改革プロジェクトを、経営刷新計画の重点施策の1つにしてしまえということですね」

杉谷:「その通りです。社員には経営刷新計画と改革プロジェクトが一体になっているように見せる。そうすれば、プロジェクトに対して敵対心を持っている人たちも、嫌でも皆さんの話を聞かざるを得ない。先ほど出てきたような“仕事の邪魔をするな”“お前何の立場で動いているんだ”と言われたとしても、プロジェクトメンバーからきちんと説明ができますよね」

 ミーティングの途中、日比野社長の去就が気になった須藤は、人事課長の三井に話しかけた。

須藤:「ところで、日比野さん、社長を辞めちゃうんですかね…」

三井:「それはすぐにはないよ。3月決算の当社は、6月が株主総会だ。代表取締役の退任は、ここで正式に決まることになる。だから、それまで半年以上はまだ日比野さんは社長として在任するはずだよ」

須藤:「よかった。日比野さんにはいい報告したいですからね」

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