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» 2017年02月28日 11時30分 UPDATE

Over the AI ―― AIの向こう側に (8):陰湿な人工知能 〜「ハズレ」の中から「マシな奴」を選ぶ (6/10)

[江端智一,EE Times Japan]

「吉田屋」vs.「大スキ屋」、値下げ競争の戦略

 次の例では、「値下げ競争を止められないのか」というテーマを、ゲーム理論で読み問いています。

 この内容は、「マンガでわかるゲーム理論 なぜ上司は仕事をサボるのか? 近所トラブルはどうして悪化するのか?(サイエンス・アイ新書)」(ポーポー・ポロダクション SBクリエイティブ、2014年)から引用しています。

 値下げを続ける理由は、ひと言で言えば、「値下げ」をしないと店が生き残れないからです。

 この図表で現わしていることは、「相手の店が500円で売ろうが、450円に値下げしようとも、自分の店が450円に値下げすることが、最適戦略である」ということです。相手のどんな対応に対しても、たった一つの戦略で対応できるのは、店としても(いろいろと考えずに済むので)ラクです。

 しかし、当然、相手の店も同じように考えるはずなので、結局、「値下げ競争が止められない」ことになってしまい、相手の店が潰れるまで、この値下げ競争が続くわけです。これもナッシュ均衡の一例です。

チキンレース

 さて、次の例は、ちょっと考え難いケースなのですが、チキンレース、いわゆる「度胸試し」です。

 チキンレースとは、どこまで衝突を我慢できるかによって度胸の良さを競い合うゲームです。このケースでは、「正面衝突になりそうな時であっても、自分からはハンドルを切らず、相手に先にハンドルを切らせたら勝ち」というゲームになります。

 当然ですが、正面衝突したら「死亡」しますので、双方にとって、最悪の選択となります。このゲームの場合は、先にハンドルを切った方が負けになりますので、勝敗はつけやすいです。

 しかし、「同時にハンドルを切ったかどうか」の判定は難しいでしょうし、多分、両方とも「私の方が遅かった」と言い張って譲らず、再勝負を続けているうちに、両者とも「死亡」となってしまうかもしれません(チキンレースなんぞやるバカは、死ねばいいのですが)。

 ところが、このチキンレースには必勝法があるのです。

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