次世代メモリの最有力候補は、3つのメモリ技術に絞られる。相変化メモリ(PCM)、磁気抵抗メモリ(MRAM)、抵抗変化メモリ(ReRAM)である。
相変化メモリ(PCM)は当初、単体のメモリとして128Mビット品が市販されたほか、異なる種類のメモリを混載するマルチチップパッケージとしてカスタム品が製品化された。しかしこれらの製品は、一時期の販売にとどまった。
PCMの復活は3次元クロスポイント構造とともに生じた。IntelとMicron Technologyが共同開発した高速大容量不揮発性メモリ「3D XPointメモリ」である。IntelとMicronはメモリ技術の詳細を公式には明らかにしていない。しかしシリコンダイを分析した調査企業によるレポートから、PCMであることが判明した。現在では「3D XPointメモリ」が、DRAMを超える大容量化に成功した初めての次世代メモリであるとともに、PCM技術の代表的な商業化事例となっている。
磁気抵抗メモリ(MRAM)は、ベンチャー企業によって4Mビットの単体メモリから製品化が始まった。現在では、単体メモリの量産品は256Mビットまで大容量化が進んでいる。さらに最近では、マイクロコントローラーやSoC(System on a Chip)などで従来の埋め込みフラッシュメモリを置き換える、埋め込みMRAMが大手のシリコンファウンダリーによって提供され始めた。
抵抗変化メモリ(ReRAM)は、マイクロコントローラーの埋め込みメモリとして製品化が始まった。小容量の単体メモリも市販されている。また、大手のシリコンファウンダリーが埋め込みReRAMを近く提供するとみられる。
次回以降は、これら3種類の次世代メモリ技術について解説していく予定である。
(次回に続く)
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