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ある医師がエンジニアに寄せた“コロナにまつわる現場の本音”世界を「数字」で回してみよう(62) 番外編(1/10 ページ)

マスクは、「他人へのウイルス拡散防止」にはなっても、「他人から自分へのウイルス拡散防止」にはならない。こんな非対称的な論理が、なぜ成立するのだろうか――。今回のコラムは、私のこの疑問に対して、現役医師で、私の過去のコラムでも何度もお世話になっている「轢断のシバタ」さんが下さった、1万字以上にも及ぶメールを紹介するものです。

» 2020年03月25日 11時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]

 マスクは、「他人へのウイルス拡散防止」にはなっても、「他人から自分へのウイルス拡散防止」にはならない。こんな非対称的な論理が、なぜ成立するのだろうか――。今回のコラムは、私のこの疑問に対して、現役医師で、私の過去のコラムでも何度もお世話になっている「轢断のシバタ*)」さんが下さった、1万字以上にも及ぶメールを紹介するものです。

*)例えば、「1/100秒単位でシミュレーションした「飛び込み」は、想像を絶する苦痛と絶望に満ちていた」の回でお世話になっています。



 まず、何も言わずに、以下の私の2020年3月9日の日記を読んでください。


正直に申し上げて、私は分からないので、誰か教えてください。

COVID-19の感染防止だけではなく、インフルエンザ等についても良く言われることの一つに

(1)マスクは、自分がキャリア(ウイルスの運び屋)である時には、他人へのウイルスの拡散防止にはなる

しかし、

(2)マスクは、自分がノンキャリアの時に、他人から自分へのウイルスの感染を防御する効果はない

という論がよく記載されています。

私、本当に分からないのです。

―― なぜ、このような非対称的な論が成立するのか?

今回のCOVID-19に関しては、「濃厚接触」が感染に大きく関係していることは、毎日のニュースを見ていれば明らかです。

これは、感染が、キャリアから渡されるウイルスの「量」に依存するということだと思っています。

つまり「ウイルスを『たくさんふりかけられる』ことで、感染しやすくなる」ということだと思っています。

そんでもって、「少量のウイルスであれば、体内の免疫機能(だと思うが)が、ウイスルを全部つぶせる」ということだと思っています。

ならば、『感染の"予防"としてのマスクには、十分な効果がある』のではないでしょうか。

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「マスクに付着したウイルスが、手を経由して感染する」という話を読んだことがあります。

これは事実でしょうが、それなら、自分の衣服や所有物に取得する全てのモノにも同じ話が適用されることになります。

これを、「感染防止としてのマスクには効果がない」という話と混同させるのは、ミスリーディングだと思います。

現時点で、私は、現在は「直感」に従って、マスクをしています。

できれば、「論理的」にマスクをする/しない にシフトしたいと思っています。

有識者による、筋の通った(ロジカルな)説明を頂きたく、何卒よろしくお願い致します。

ちなみに、ウイルス、細菌、飛沫唾液の「大きさ」については、良く知っていますので、その観点からのアプローチは不要です*)。ただし、「非対象性」に関連がある話なら別です。

(*)野口英世という人物が、当時、ウイルスの存在を見つける手段がなく、誤った研究論文を乱発していたという話を読んで、良く知っています(「遠き落日」渡辺淳一 講談社文庫/2013年)。


 この私の素朴な疑問に対して、1万1000字にも及ぶ1通の電子メールで返信を下さったのが、シバタ医師でした。

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