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» 2017年12月22日 11時30分 公開

Over the AI ―― AIの向こう側に(18):儲からない人工知能 〜AIの費用対効果の“落とし穴” (5/9)

[江端智一,EE Times Japan]

3回目の「AI冬の時代」

 さて、ここからAIブームの話を開始しますが、考え方の基本は、上記の経済の話と同じです。

 実は、"AI技術"は、(それらの技術を"AI技術"と言わないだけで)AIブームの有無に関係なく着実に進んできたのです

 しかし、AIブームは、これらのAI技術の発展とは関係のないところで、突然発生するのです。今回の第3次ブームでは、「深層学習」と「強化学習」でした。

 今回の第3次AIブームは、『放置しておくだけで、自分で自分を改善していく*)』という、"神秘的"に見える、新しいコンピュータプログラムのアルゴリズムによって、発動しました。

*)これ、実際のところ「相当の誇大広告」なんですけどね。

 そして、「何も教えなくても猫の絵を選び出す」ことや、「囲碁の名人を討ち負かす」という、万人に分かりやすい効果が、このブームの後押しをすることになりました。そして、それ自体に問題はありません。

 問題は、技術サイドが、予算確保のために「深層学習」と「強化学習」以外のソフトウェア技術も、"AI技術"であると言い張るようになり、そして、マスコミなどが、まだ実現されていないAI技術の応用アプリやサービスを、あたかも既に完成しているかのように報じることで、AIブームの暴走をけん引していることにあります。

 そして前述したように、今の日本の経済成長率を支えるものとして、"AI技術"に恐しい期待がかけられています。

 つまり、「未来に実現するであろうAI技術に対する期待を、現在、借金している」という状態になっている訳です。

この後にやってくることは明らかです ―― AIバブルの崩壊です。

 そして、そのAIバブルの崩壊の後、私たちは3回目の「AIの冬の時代」を迎えることになり、そして政府の経済成長戦略などから"AI"という言葉も消えることになるでしょう*)

*)例えば、現時点の政府の資料から「ユビキタス」「M2M(Machine to Machine)」という言葉はなくなり、「ビッグデータ」さえも見つけるのが難しくなってきています。

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