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» 2018年08月09日 11時30分 公開

半導体開発だけではない:製造装置の国産化を加速する中国 (1/4)

「中国製造2025」の一環として半導体産業の強化を掲げる中国。今、中国国内には巨大な半導体製造工場が立ち上がりつつある。半導体製造装置については日米欧の寡占状態にあるが、中国は製造装置の内製化も進めようとしている。中国による製造装置の国産化は、どの程度まで進んでいるのか。

[湯之上隆(微細加工研究所),EE Times Japan]

国策で半導体産業を強化する中国

 中国の習近平国家主席肝いりの産業政策「中国製造2025」の1丁目1番地には、「中国半導体産業の強化」がある。2014年に立ち上げた中国IC基金は18兆円に増額され、この資金を投じて中国国内に半導体の巨大工場が立ち上がりつつある。

 紫光集団傘下の長江ストレージは、武漢に月産10万枚の3次元NAND型フラッシュメモリ用工場を2017年末に立ち上げ、既に装置の搬入が始まっている。長江ストレージは2020年に月産30万枚、2030年に月産100万枚に増産すると発表している。

 UMCと技術提携しているFujian Jinhua Integrated Circuit (JHICC)は、2017年10月に月産10万枚のDRAM工場を立ち上げ、2018年、装置搬入を開始した。2019年以降に現在最先端の1Xnm DRAMを量産する計画である。

 元エルピーダの坂本幸雄社長が立ち上げたサイノキングとの提携に失敗したHefeiは、RuiLiと社名を変更した。その上で、SMICの経営トップを務めたDavid Wang氏を招聘し、Micron Technology傘下のInoteraから大量に技術者を引き抜いて、1Xnm DRAMを立ち上げつつある。2017年9月に月産12.5万枚の工場が完成し、2019年に大量生産を目指している。

 その他、長江ストレージのActing chairmanで、紫光集団のExecutive VPでもあるCharles Kau氏は、300億米ドルを投じて成都に最先端の1Xnm DRAMを量産すると宣言した。また、SMICは、かつてTSMCで辣腕(らつわん)を振るい、当時最先端だった28nmの技術を引っ提げてSamsung Electronics(以下、Samsung)に移籍し、Appleのアプリケーションプロセッサのファンドリービジネス獲得に貢献したDr. Liang Mong Songをヘッドハントした。SMICは2020年までに16nm/14nmを量産すると宣言しており、それにはLiang氏が強力に采配を振るうことが予測される。

半導体製造には大量の製造装置や材料が必要

 このように、中国では、半導体工場が建設ラッシュを迎えつつある。半導体工場を立ち上げたら、次は、大量の製造装置を搬入しなくてはならない。ところが、後述するように、製造装置も材料も、中国は日米欧に依存している。

 そのような中、米中のハイテク貿易摩擦が激化しており、「米政権が米国の製造装置の輸出制限を出す」との観測がある(日経新聞2018年6月19日)。もし、それが現実になったら、中国は半導体をつくることが困難になる。米国が売らないなら、その分を日本が売ればいいという考えもあるが、米国装置に性能が及ばない装置分野もあるし、それよりも、米国が日本に「装置や材料を中国に売るな」と圧力をかけてくる可能性もある。

 ところが、上記のような事態を見越してか、中国は、製造装置や材料の国産化を着々と進めていた。それは筆者の想像を超えた次元に到達していた。

 本稿では、まず、半導体工場が建設ラッシュとなっている中国が、地域別の製造装置市場で世界最大になりつつあることを明らかにする。次に、ウエハープロセスを行う時に使う約10種類の製造装置の企業別シェアを示す。ここから、製造装置は、ほぼ日米欧が独占している現状を明らかにする。最後に、米日から製造装置供給を制限された場合に備えて、中国が装置の内製化をどこまで進めているか、今後、それはどのくらい進むかの展望を論じる。

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