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» 2017年03月13日 11時30分 公開

世界を「数字」で回してみよう(40) 人身事故(最終回):人身事故を「大いなるタブー」にしてはならない (6/9)

[江端智一,EE Times Japan]

「飛び込み」を前提とする鉄道の利用方法

 では次に、「『飛び込み自殺』を前提とする鉄道の利用方法」の提言に入ります。

 上記の(1)の「仕方がない」と(2)の「許さない」は矛盾するようですが、このような2つのマインドを両方持っていることが大切だと思います。(3)の「事前準備」は、人身事故はいつでもどこでも発生して襲ってくるという前提に立ち、物事を考えるようにしよう、という提言の1つです。

 (4)の「自発的脱出」は、先ほどお話した通りです。(5)は、電車の中に閉じ込められ続ける時間(事故復旧までの時間ではない)の受忍限度を「1時間」という具体的な数値目標として定めて、それ以上は、鉄道会社に不作為の責を負ってもらうという、新しい社会通念構築についての、私からの提言です。

 先ほどの話の繰り返しになりますが「乗客の命を守っているんだから、仕方ないだろう」の理屈は、もちろんシステム運用側から見れば当然です(理解できます)。しかし、「自殺を前提とするシステムまたは社会」においては、これまで通り「乗客の命を守る」という安全システムに加え、さらに、「1時間を越えて、電車の中に閉じ込められ続けることはない」ことを担保する安心システムが必要である ―― と、私は申し上げているのです*)

*)この「安心システム」の可能性について、鉄道会社さんと直接お話させて頂きたく、既にお願いを始めているのですが、はっきりいて「不調」です(まあ、私のコラムを読めば、私に会いたくないのは当然だと思いますが)。しかし、私、鉄道の運行や安全システムについては、(訳あって)かなりよく知っている方だと思いますので、「受忍限度1時間を実現する『安心システム』」についても、「感情論」ではなく「システム論」で建設的な議論ができると思っています。何卒、前向きにご検討頂けますよう、よろしくお願い致します。

 (6)(7)の「自殺志願者への提言」は、人身事故(未遂)の当事者である私の経験に基づくものです。「あれ」は、問答無用で見境なく私たちに舞い降りて、私たちを、私たちの意志に反して、ホームから突き落とそうとする、恐しいヤツです。

 こういう心理状態の時は、駅に近づかないのが一番です。または、私の前回のコラムの内容を思い出して、自分のグチャグチャになった手足を、激痛と絶望の中で眺めている自分をイメージしてみて頂きたいのです(大概、私もしつこいですが)。

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