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» 2019年12月26日 09時30分 公開

この10年で起こったこと、次の10年で起こること(41):2チップを同時開発するHuawei ―― 2019年新チップ解剖総括で見えてくるメーカー間の差 (3/3)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]
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2019年新プロセッサのCPU部を比較すると……

 異なるものを2つのチームで並行開発したとしても、テストや検証は共通化すべき事項も多い。非常に統率されたマネージメントと、やり切る力がHiSiliconには存在することになる。この1年弊社ではAI系、GPU系、CPU系などの新規プロセッサのほとんどを入手してきた。日米欧、中台韓などの主だったものはすべて入手して動作確認したものもあれば、開封/解析したものもある。おおよそ100種の新プロセッサの解析を2019年は行なった。中にはなかなか入手に難儀したものもあったが、話題になった製品に搭載されたプロセッサをほとんど観察できた1年であった。

 図6はそうした話題の製品に搭載されたプロセッサのCPU部分を拡大した様子を掲載した。2019年は実に多くのプロセッサが生まれ、新製品に採用されている。半導体の進化という点では2019年は冒頭で言ったように5Gが実用化され、AIアクセラレータも続々と生まれたという点で大きな変化があった1年であった。

図6:2019年の話題製品に採用されたプロセッサのCPU部を拡大した様子(クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 2019年の新プロセッサの中でもRISC-Vコアを用いた中国KendryteのK210はAIアクセラレーターも搭載したチップとして話題になった。仕様では2コアCPUとなっているが、実シリコンは図6左のように4コアである。詳細な解析結果にはさらに驚きの事実があるのだが、ここでは省略する。KendryteのチップのようなRISC-Vを用いたものは中国を中心に続々と生まれており、2020年以降も片っ端から観察していく予定である。

 図6中は、ソニーのWALKMAN 40周年モデルに採用されるNXP SemiconductorsのプロセッサのCPU部である。図6右は、Amazonが2019年秋に発売したFire TV Cubeに採用されるAmlogicのプロセッサのCPU部である。いずれも4コアのCPUである。4コアCPUは4個を横一列に並べる場合もあるが、多くは4つのコアを“田の字”のように配置するものが多い。一見するとまるで蝶が羽を広げているように見える。2019年、非常にたくさんの蝶(4コア)を観察した。依然として大きな差がメーカー間にある。実際にはサイズや性能にもメーカーによって差があり、優劣が存在する。この辺りも弊社では明確にしてレポートでは報告している。

 2020年以降も多くを観察し、より多くのチップを明確にしていく予定である。ブラックボックス化せず、実際に見て判断することがますます重要になると確信する。2020年もどうぞよろしくお願いいたします。

筆者Profile

清水洋治(しみず ひろはる)/技術コンサルタント

 ルネサス エレクトロニクスや米国のスタートアップなど半導体メーカーにて2015年まで30年間にわたって半導体開発やマーケット活動に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見と経験を持っている。現在は、半導体、基板および、それらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの代表取締役兼上席アナリスト。テカナリエは設計コンサルタントや人材育成なども行っている。


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