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» 2014年09月01日 10時00分 UPDATE

トレックス・セミコンダクター 技術理事 第一ビジネスユニット長 木村岳史氏:電源IC専業こその“技術力・対応力”を大電流/高電圧分野でも

トレックス・セミコンダクターは、世界でも数少ない“電源ICの専門メーカー”だ。モバイル分野で実績ある高効率、低ノイズ、小型を兼ね備え、機能とコストのバランスに優れた価格競争力ある製品展開を大電流/高電圧分野へと拡大。ビジネス領域をウェアラブル機器から車載機器、産業機器までに広げつつあるトレックスの製品/技術戦略について、技術理事兼事業本部第一ビジネスユニット長を務める木村岳史氏に聞いた。

[PR/EE Times]
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設計担当者が顧客訪問し、きめ細かく対応

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――トレックス・セミコンダクターの強みを教えてください。

木村氏 電源ICの専門メーカーであることです。これまで、デジタルカメラやスマートフォン、ポータブルオーディオプレヤーなど、民生用モバイル機器向けを中心とした電源IC事業を展開してきました。電源ICは、高性能で高効率、低ノイズが要求されます。その上で、パッケージの小型化を実現してきたのが当社の強みとなっています。設計者やFAEの人員を十分に抱えているわけではありませんが、当社の設計担当者が客先を訪問するなどして、きめ細かく対応しているのも特長の1つです。

――製品面での特長を挙げるとすればどのような点ですか。

木村氏 電源ICを主力とする半導体メーカーとして、消費電力の小さいレギュレータから大電流/高耐圧のDC-DCコンバータまで、さまざまな仕様の製品を用意することで、顧客の選択肢を広げ、それぞれのニーズに応えてきました。パッケージの品ぞろえを一例として挙げるならば、外形寸法が0.75×0.75mmの超小型品から、2Wまで対応できるTO-252製品など用途に合わせた幅広いラインアップがあります。

ファブレスだが、プロセス技術者も在籍

――高速応答や低消費電力といった独自技術もありますね。

tt20140901TOREX002.jpg 放熱性に優れた小型・低背パッケージ「USP」(Ultra Small Package)採用製品

木村氏 電源ICは、入力変動/出力負荷変動に対していかに早く安定させて、要求されている電圧/電流を供給できるかがカギとなります。当社独自の高速過渡応答技術「HiSAT-COT(High Speed circuit Architecture for Transient with Constant On Time)制御」はその1つです。これによって、高速応答と低消費電力を両立しています。2つ目はパッケージの技術です。USP(Ultra Small Package)など、放熱性が高く小型で低背の独自パッケージ製品は高い競争力があります。もう1つ上げるとすれば、ファブレスメーカーでありながら、専任のプロセスエンジニアを社内に抱えていることです。設計エンジニアとプロセスエンジニアが協力して製品開発に取り組むことにより、トランジスタのアナログ性能を最大限に引き出す活動を行っています。また特性向上のため、アナログ素子の研究開発も行っており、こうした取り組みがトレックス全体の強みを押し上げています。

――2012年度より開発体制を刷新されました。

木村氏 それまでの「営業本部」、「開発本部」および「情報技術本部」の3本部体制から、「第一ビジネスユニット(BU)」、「第二BU」、「第三BU」の3つのビジネスユニット体制に再編しました。第一BUは汎用製品を中心として、車載向け、産業機器向け、民生機器向けのIC事業を担当しています。基本的なプロセス開発や先行開発などの横断的な開発も第一BUが担当します。第二BUは、ウェアラブル機器向けのICや、充電制御IC、LED制御ICの事業を担当しています。どちらかといえばASSP的な製品です。第三BUはコイル一体型DC-DCコンバータやディスクリート素子などの事業がメインとなります。

――体制変更によってどのように変わりましたか。

木村氏 ICの企画/開発がビジネスに直結するようになりました。従来は、技術主導型の開発となっているケースもありました。特定顧客のニーズを反映した製品だと、それ以外の顧客に対してはオーバースペックになることもあり、結果的にコスト競争力を下げることになっていました。新体制になって、マーケティング担当と開発担当が同じBUに籍を置いたことで、コストと機能のバランスがよくなり、これまで以上に製品競争力を高めることが可能となりました。それぞれの担当分野で、より高い専門性を発揮してくれると確信しています。

高耐圧、大電流化と微細化を効率よく実現

――研究開発関連の投資について、基本的なスタンスを教えてください。

木村氏 設計環境の充実を図っています。当社はウエハファブを保有していません。このため、生産委託先のファウンドリと連携をとりながら、製品の性能を最大限引き出せるよう、技術開発に取り組んでいます。電源ICへの要求として高耐圧や大電流化への対応が高まる中、より高性能なアナログICの実現には微細化の波は避けて通れません。このため、ウエハーの製造プロセスも複雑化していきます。そこで重要となってくるのが先端ICを効率よく設計するための開発環境です。ツール群を整備/拡充することで、ICチップの開発、量産により適した製造プロセスを選択して、利用することができるようになります。例えば寄生容量の抽出や検証もツール上で容易に行うことが可能となるため、試作チップを使ってカット&トライを繰り返す時間も削減でき、大幅な開発工期短縮が見込めます。

 さらに、車載や産業機器向けの電源ICに注力していることもあり、品質のさらなる向上に向けた評価/テスト環境の充実なども継続して進めていきます。もちろん、成長戦略を進めていくために必要となる、技術者の拡充にも努めているところです。新卒者だけでなく中途採用も行っており、優秀な人材を確保していく予定です。

ウェアラブル、車載機器、産業機器へ

――2014年度に注力していく事業領域はどこですか。

tt20140901TOREX003.jpg コイル一体型DC-DCコンバータ「XCLシリーズ」ラインアップ一覧

木村氏 ヘルスケアやGPS関連など、ウェアラブル機器向けの事業を一段と強力に推進していきます。これらの用途では小型で低消費電力の電源ICが求められています。しかも、電池の長時間使用を実現するため、電源ICは高効率でなくてはなりません。この用途に向けた製品の1つが、コイル一体型DC-DCコンバータ「XCLシリーズ」です。

 同様に、車載/産業機器向けも継続して事業を展開していきます。これまでは耐圧が6V以下の2次側のローカル電源ICを中心に製品を展開してきました。それに加えて今後は、耐圧が20〜40Vクラスの製品群を増やしていきます。家電製品も高機能化が進み、搭載される電源モジュールも高耐圧かつ小型、高効率が必要になってきています。パワーコンディショナ―やインバータ、IPM/IPDなどの用途に向けた製品となります。

――ウェアラブル機器向けで注力するのはどのような製品ですか。

木村氏 ウェアラブル機器には、小型で消費電流が小さいボルテージレギュレータ「XC6504」シリーズやリセットIC「XC6126」シリーズが、既に採用されています。いずれも自己消費電流はわずか0.6μAです。また、XC6504シリーズは、外付けのコンデンサがなくても安定動作するように設計されており、電源回路の省スペース化を実現できます。負荷電流が多い用途では効率が高く、発熱を最小限に抑えたXCL202シリーズなどが採用されています。さらに、自己消費電流を抑え、ウェアラブル機器がスリープ状態の時の電源効率を80%以上に高めることで、電池の長時間使用を可能とする降圧型DC-DCコンバータも新たに開発中で、2014年秋にはサンプル出荷の予定です。

――車載システムや産業機器向け製品の特長などを教えてください。

木村氏 30Vまで動作可能な降圧DC-DCコンバータ「XC9252」シリーズや「XC9271」シリーズを用意しています。これらのICは、2Aの電流を駆動することができます。PWM制御とPFM制御を自動的に切り替える機能を搭載しており、電流が数mAの軽負荷時でも高い効率を実現しています。さらに、DC-DCコンバータの発振周波数を外部クロックで調整することが可能なため、車載用途で課題となるAMラジオ帯域での干渉も回避することができます。この他、ON/OFF制御機能やソフトスタート機能、パワーグッド機能など電源のシーケンス制御にも対応できる設計となっています。

 これ以外に、XCL214シリーズも車載システムや産業機器向けに採用されています。小型ながら最大1.5Aの電流を駆動できることや、HiSAT-COT技術により、応答特性に優れていることが高く評価されているようです。この結果、さまざまな状況変化においても電源ICの出力電圧変動が非常に小さいため、電源回路の設計マージンを確保するのが容易となります。さらに、36V入力のボルテージレギュレータ「XC6702」シリーズを2014年秋までにリリースしていく予定です。CMOSプロセスを採用しており、低消費電流でありながら高速応答を実現した製品となります。

エナジーハーベスティングにも

――今後の開発ロードマップなどがあれば教えてください。

木村氏 さらなる高耐圧化と大電流化を進めていくのが1つの方向です。当面のターゲットとして、入力電圧が60Vまで可能な製品や、出力電流を6Aまで駆動できる製品の開発を進めて行きます。これまで注力してきた車載システムや産業機器の用途に加えて、クラウドサーバや通信インフラ、などの市場にも新たに参入していきます。さらに顧客に新たな付加価値を提供しているコイル一体型DC-DCコンバータについても、モバイル機器向けから車載システム向けまで、さまざまな用途に向けた製品を用意していく予定です。

 エナジーハーベスティングへの対応も、将来的には重要となります。電源ICとしては、微小な電力をコントロールする技術が求められると思います。よってエナジーハーベスティングなどの新たな市場に向けた先行技術開発を強化し、DC-DCコア回路技術や低電圧高精度技術などの開発を継続して行っていく計画です。


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提供:トレックス・セミコンダクター株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2014年9月30日

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